しっかりとした固さがあって、お口のなかでほろりとほぐれる……。そんな理想のおにぎりをケータリングで提供し続けているお米クリエイティブ集団「ごはんとおとも」のおふたりに、彼ら自慢のふわっふわに握る究極「ほぐれおにぎり」の作り方を教わりました。
macaroni編集部
お口でほろり…!「ほぐれおにぎり」の握り方
以前、ある専門店のおにぎりを食べて感動したことがあります。ふわっとやわらかなのに、手で持っても形は崩れず、口にいれるとほろりとほぐれて……。お米の甘さをあんなに豊かに感じられたのは人生でもはじめて。まさに衝撃的な体験でした——。
あの職人技と比べたら、自分で握ったおにぎりなんてただのごはんの塊としか思えません……。だからこそ、ああいうおにぎりを自分でも握れるようになりたい!
そこで今回、おにぎりのプロフェッショナルを編集部にお呼びして、おいしく握るコツを教えてもらうことにしました。お忙しいなか時間を割いてくれたのは、お米クリエイティブ集団「ごはんのおとも」の橋本英治さんと詫摩友彦さん 。ケータリングサービス「出張ほぐれおにぎりスタンド」で人気急上昇中のおふたりです。
名人級と評判のおふたりが教えてくれたのは、“その場でふわっふわに握る究極のほぐれおにぎり”の握り方。お米の選び方から海苔の巻き方まで、ガッツリ質問し倒してみました。
教えてくれた人たち
お米クリエイティブ集団「ごはんとおとも」手前/橋本英治さん 奥/詫摩友彦さん
佐賀出身の橋本英治と大分出身の詫摩友彦で「ごはんとおとも」を結成。その場でふわっふわのおにぎりを握る「出張ほぐれおにぎりスタンド」は、おいしさだけはなく、出張先の空間に賑わいを作る。全国を行脚して出会った契約農家さんのお米を使用。過去にお米を提供した人数は30000人以上。呼ばれれば全国どこへでも出張し、韓国でも実績あり。POPEYEやJ-WAVEなどメディアにも出演。
1. まずはお米選びから!「モチモチ」で「甘い」銘柄を
おにぎりは炊いたお米をにぎってつくる料理ですから、なにはなくともお米が大事。特徴の異なるさまざまな銘柄があるなかで、おにぎりに合うお米とはどういうものなのでしょう。
「好みもあると思うのですが、ボクらの場合、炊いたときに粒がしっかりとして、でもねばり気があり、甘みがある……そういうお米を選んでいます。
おにぎりで大事なのは、口に入れたときの食感だと思うんです。粒がしっかりしていてねばりがあると、日本人好みのモチモチとした感じになる。加えて、甘みというのはお米そのものの旨み。ボクらにはお米自体を味わってほしいという気持ちがあるので、これは欠かせない要素です。さらにいえば、ツヤがあるといいですね。ツヤのあるお米は総じて舌触りがよく、口当たりだけで食欲をそそりますし、咀嚼の際にストレスがありません」
2. ほぐれおにぎりに使うお米の炊き方
「まず、最初にお米にふれさせる水はミネラルウォーター。カルキ臭のない浄水でもOKです。お米は乾物なので、最初に接触する水を一番多く吸収する。この水の違いで味に大きな違いがでます。
お米を研ぐときの手はボールをつかむような形にし、20回ほどやさしく動かします。この20回というのは、米ぬかを落としすぎないちょうどよい回数。お米独特の香りがほどよく残るこの塩梅が好きなんです」
お米を炊く前の浸水時間は「夏は最低30分、冬なら1時間、最大8時間ほど」とのこと。8時間以上となると、お米が割れやすくなってベチャベチャとした仕上がりになる可能性が高まるのだとか。
ちなみに、ごはんとおともでは菌の繁殖を避けるため、研ぎ終えたお米は水気をきってジップロックに入れているそう。その状態でも問題なく浸水できるんですって。
水加減の目安は「+20ml」
炊くときの水加減は、「お米と同体積の水分+20ml」が目安。
「よく『硬めのお米が好きだから、水少なめで炊く』というお声をいただきます。でも、そういう人も意識していないだけで、本当は粒は硬めだけど、粘りがあって、舌触りがいいツヤがあるお米が好きなのだと思っています。
硬めを意識して水を少なくしてしまうと、おにぎりを握って食べるときにはそういうコンディションからかけ離れたお米になっていることがあるので、少しだけ水を多めにしています。とはいえ、炊飯器によってはふつうの水量でも良い加減で炊けるかもしれませんので、おウチでいろいろ試しながら好みの水加減を見つけだしてください」
3. 浄水でしっかり手を湿らせる
お米にふれる前にしっかりと手を湿らせる。おにぎりを握る作業はここからスタートとなります。
「理由はふたつあって、ひとつは握るときにお米が手につかないようにするため。もうひとつは、お米に塩を浸透しやすくするためです」
さらに、手につける水にも気を使っていると橋本さん。
「基本的にはミネラルウォーターか浄水を使うようにしています。お米と一緒に口に入るものなので、風味にクセがあるような水は避けていますね」