仕事で大成功を成し遂げたいとか、そんな大それた野望はないけど、なんとなくうまくやりたい。いつもの働き方を小さくアップデートする「お仕事ハック」を紹介します。
ヨダエリ(コラムニスト)
今回のお仕事ハックは「部下のやる気を引き出せない」という女性のお悩みに、コラムニストのヨダエリさんがアドバイス。
部下のやる気を引き出せない
部下の指導方法に悩んでいます。その部下は与えられた仕事をきちんとまっとうできるタイプで、私も期待しているのですが、いかんせん「やる気」だけが足りない気がします。だけど「がんばろうよ!」と情熱的に伝えても響かないだろうし、悩みどころです。どう指導すればやる気を引き出してあげられますか?
もしかして、あなたが部下に求めているのは、「やる気」というより「覇気」や「情熱」ではないでしょうか?
と、いきなりの指摘からはじめますが、ここ大事だと思います。
というのも、もし今後あなたが部下にこの件を話すことにしたとき、「やる気」という表現を使うと齟齬をきたしそうな気がするのです。
あなた「もう少しやる気を出してほしい」
部下「え? ……自分なりにやってるつもりですが」
あなた「いや、それはわかるんだけど」
部下「じゃあ何が足りませんか(キレ気味)」
みたいな(笑)。
実際、部下は「与えられた仕事をきちんとまっとうできるタイプ」とのこと。まっとうする、つまり、最後までやり遂げる。しかも「きちんと」。ということは、部下は部下なりに責任感を持って仕事に取り組んでいると思うのです。
だけど、あなたから見ると「やる気」が足りない。でも、部下からすると、やる気がないわけではない。永遠の平行線。
そもそも「やる気」とはなんぞや? 三省堂の新明解国語辞典で調べたところ、「やる気」では載っていず、「気」の項目にありました。
【気】
外界の刺激によって変わる、その時どきの心の持ちよう(に支配されるものの見方や行動への意欲)。「やるーが無い」
新明解国語辞典(三省堂)より
……「やる気がない」は「意欲がない」に言い換えられそうですね。でも、部下は、意欲がないわけではないですよね。
と考えると、やはりあなたが部下に求めるのは、覇気、熱さ、情熱、でしょうか。
そうです! ということであれば、おっしゃる通り、情熱的に伝えても響かないでしょうね。では、どう伝えるか。
私なら、「あなたならではの仕事をしてみてほしい」と伝えます。
たぶん、部下は、情熱を暑苦しく表に出す人に違和感を覚えるタイプではないでしょうか。となると、そうなれと言われても、反発する可能性大。
でも、「あなたなりの個性を発揮してくれ」と言われたら、嫌な気はしないと思うのです。すぐには具体案が浮かばなくとも、心には留めるはず。
あなたも、部下に体育会系になってほしいわけではなく、自分なりの工夫や試行錯誤を仕事に取り入れてほしいのでは? そこを伝えるといいと思います。
自分なりにがんばっているのにそう思われていないと感じたとき、人は怒りと絶望を感じるもの。一方、がんばりを認めてくれて、自分の個性を尊重してくれる人には、さらなるがんばりを見せたくなるもの。
きっとうまくいきますよ!
POINT.
・仕事をやり遂げる部下は「やる気」がないわけではない
・そこを認めたうえで、どんな仕事ぶりを望むか考えてみよう
・部下の個性を尊重していることがわかる伝え方を
・誤解を招かない適切な言葉選びも忘れずに
(文:ヨダエリ、イラスト:黒猫まな子)
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