柑橘類に含まれているクエン酸は、疲労回復の効果がある成分として各種ドリンクが販売されていますが、それだけでなく、お料理の下ごしらえやお掃除にも使えるすごいパワーが注目されています。化学薬品と違って安全性が高く、これはぜひとも日々の生活に活用しない手はありません。
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そもそもクエン酸ってなに?
クエン酸は重曹と並んで、洗剤や化学薬品を使わない「ナチュラルクリーニング」では人気のアイテムです。その語源は中国産の柑橘類の一種「枸櫞」(くえん)です。ご存知の方も多いと思いますが、クエン酸は柑橘類や梅干しなどに多く含まれ、原料由来のさわやかな酸味があるので食品添加物やサプリメントにもよく使われています。
工業的には原料は柑橘類ではなく、サツマイモのデンプンを黒麹を使って発酵させて精製して製造しています。
クエン酸の成分の特徴
クエン酸は酸性なので、アルカリ性のカルシウムを中和して溶かす働きがあります。それを利用して水回りの白く固まったガリガリ汚れを溶かしたり、電気ポットなどの洗浄にも使えます。お洗濯の仕上げ剤やシャンプーのリンスにも利用されてます。
トイレのアンモニア臭もアルカリ性なので、これを中和する消臭剤の成分としても使われます。
クエン酸の効果と使い方【料理に使う場合】
野菜の下ごしらえに
クエン酸はお掃除だけでなく、お料理の下ごしらえにも使えます。ゴボウやレンコンなどの根菜類には、水1Lに対してクエン酸を小さじ1杯ほど加えてしばらく浸けておくと、色の黒ずみを防げるので、仕上がりがきれいになります。
また、大根おろしが辛いときにも加えると辛味が抑えられます。
お料理のアクセントに
クエン酸の酸味を生かしていろいろなお料理のアクセントに使いましょう。野菜の朝漬けにお酢の代わりにクエン酸をお使いになると、さっぱりとしていくらでも食べられるサラダドレッシングで合えたような風味になります。
イチゴやぶどうなどの赤色系のジャム作りの時にレモン汁の代わりにお使いになると、色が鮮やかで酸味がさっぱりとした味わいになります。
飲み物に加えて
おすすめは、赤しそを1分間ほど煮出したジュースです。クエン酸を加えることで色が鮮やかに仕上がり、その量によって酸味を調整することもできます。
また、焼酎やウイスキーにクエン酸をごく少量加えると、酸味で味が引き立ちます。最近の居酒屋さんメニューでは「クエン酸サワー」もありますね。おいしいだけでなく、疲労回復効果も期待できます。
クエン酸の効果と使い方【掃除に使う場合】
水あか落としに
シンクの周辺に白っぽい水あかを見かけることがありますね。水あかの正体は、水道水に含まれるカルシウムなどのミネラル分が固まったものです。水あかはアルカリ性の汚れなので、クエン酸の水溶液をスプレーにして吹きかけると中和して分解することができます。
頑固な汚れにはキッチンペーパーをかぶせてスプレーし、すぐに蒸発しないようにラップをかぶせて汚れが浮いてくるまでしばらく待ちましょう。夜のあいだにその状態のままにするのも効果的です。
消臭にも
魚の生臭いにおいやタバコの臭いはアルカリ性のため、酸性のクエン酸水で臭いを中和することができます。家の中でペットを飼っている場合も、クエン酸がペットコーナーのアンモニア臭の中和に活躍します。
クエン酸には殺菌効果もあるので、クッションやカーテンなど頻繁には洗えない、または丸洗いできない布製品吹きかけて使用できます。素足で歩くフローリングの床や絨毯にも使えます。化学薬品の消臭・殺菌剤の使用が不安な方におすすめです。
白い衣類の黄ばみ防止に
粉末加工されたクエン酸は無色無臭で原料が果物由来の酸味成分なので、水に溶けやすく使いやすい点がメリットです。クエン酸には「キレート効果」という金属成分を包み込む性質があるので、水道水に含まれる金属成分が衣類に付着するのを防ぎ、白っぽい衣類の黄ばみ防止になります。
石鹸で洗った洗濯物はゴワゴワとした肌触りが残りがちですが、クエン酸は酸性なので弱アルカリ性の石鹸を中和する効果があります。そこでクエン酸を加えて洗うと洗濯物をやわらかくふんわりと仕上げる柔軟剤のような効果があります。
使うときの注意点
キッチンで使われていることが多い大理石には使わないでください。大理石はアルカリ性の炭酸カルシウムを多く含む石灰岩が変成したものなので、酸性のクエン酸を使うと溶けてしまいます。銅や鉄などの金属にも錆びてしまうので使えません。また、油脂やタンパク質などの汚れ落しには不適なので、レンジまわりの油汚れの清掃や衣類の皮脂汚れには効果が望めません。
塩素系洗剤と混ぜると有毒ガスが発生するので特に注意が必要で「まぜるな危険!」です。クエン酸の水溶液や粉末が目に入ると酸性のためにと強い痛みを感じます。すぐに水で十分にすすぎ洗いして、痛みが残る場合は病院で治療を受けてください。