(4)コンプレックスが強い
コンプレックスの強さもあります。
執着心が強い人は、心が満たされていないことに劣等感があります。その焦りが、さらに執着心を強める悪循環になるわけです。
そして、コンプレックスを刺激されたときに(否定されたと感じたときに)、激しい反応となって劣等感とそれに付随する執着が表れます。
私たちもそうですが、こだわりをみせる箇所とは、まさに心の急所でもあるのです。
(5)ネガティブ感情を持っている
悲観的な傾向も。
胸のうちに常に満たされない感情を抱えているのです。そもそも求めるものが手に入らない以上──何を手に入れたいのか自覚できていないことも然りですが──ポジティブな気分にはなれません。
その原因もわからないままイライラをぶつけたり、不安にさいなまれたりといったトラブルも起こりえます。
強い執着心は「それが手に入らない」というネガティブ感情もセットになるのです。
ままある例外としては「やけに楽観的に激しくふるまう」というものもあります。これも情動のコントロールが苦手という意味では同じです。
執着心のメリットとデメリット
ここでは、執着心の影響を考えます。あくまで気質のひとつとして、良い面もあれば悪い面もあるはずです。
執着心のメリット
そもそも執着心というと悪いニュアンスがあるかもしれません。
しかし「ひとつのことに集中する力がある」と考えることもできます。
まさしく執着心が強いことのメリットは「目標を達成するエネルギーが強いこと」です。
例えばスティーブ・ジョブスだって、あれほどの執着心がなければAppleを成功させることはできなかったでしょう。成功には執念が必要です。
逆にいえば、執着心のない「悟った態度」では、ものごとを成し遂げづらいのです。いざというときにふんばりが効かなくなるから。何ごとも粘りが必要なときはありますよね。
執着心をほどよく持つこと。そして、その執着を大勢のためになるアクションへと使うこと。厳しい現代を生き抜くには、むしろ、これら2つは必要なことかもしれません。
執着心のデメリット
執着心を持つことのデメリットは、その心が制御不能になったときに表れます。
それは主に感情や行動のコントロールができなくなるということです。
やりたいんだけどできない、逃げたいんだけど逃げられない、というふうに、それは「人生のコントロールができなくなる」という意味なのです。
思うように進めないのだとしたら、こんなに苦しいことはありません。
上のメリットにも書いたように、執着心の強い人は、優秀なエンジンを積んだフェラーリのようなものです。一般的には扱いが難しいといわれる車も、うまく運転すればトップスピードで走ることができます。しかし、それを使いこなせずにいると、あちこちパーツの調子が狂ってしまうというわけです。