「喪失感」とはどういう感情なのでしょう? 今回は、人はどんなときに喪失感を覚え、それをどう乗り越えればいいのかを心理カウンセラーの小日向るり子さんに教えてもらいます。
大切な人や可愛がっていたペットとの死別、大好きだった恋人との別れ……。そんなときは、さまざまな感情が胸に去来し、心が乱れますよね。
そしてそのストレスは、心だけでなく身体の不調となってあらわれることも多いです。辛い喪失体験をした人なら誰にでも起こるこうした症状の根底には「喪失感」があります。
今回はこの喪失感とは何か、そして喪失感を抱いたときの乗り越え方をお伝えしていきたいと思います。
喪失感とは?
「喪失」とは失うことですので、そのまま解釈すれば、喪失感とは「失ったときの感情」ということになります。
一般的には「自分が大切にしていた人や物、自分を形づくってきた人や物を失ったときの悲痛な感情」という意味で使われます。
また、「虚無」「寂寥」といった言葉は、アイデンティティ-を形成していたものが欠けることによる喪失感情の表現のひとつとして使われることも多いです。
人はどんな瞬間に喪失感を覚えるのか
では、人はどんな瞬間に喪失感を覚えるのでしょうか。3つご紹介します。
1.大切な人を失ったとき
喪失感を抱くもっとも大きな原因となりうるのが、この「大切な人を失ったとき」でしょう。
最近は「ペットロス」という言葉もあるように、人だけでなく、家族同然のペットを亡くした際に大きな喪失感を覚えるという人も増えました。
「かけがえのない」という言葉の通り、それに代わる人はいない存在と、もう今世では会えないということは人を絶望的な気持ちにさせることもしばしばあります。
2.恋人と別れたとき
いきなり別れを告げられた、同棲していた家から突然パートナーが出ていったという場合だけでなく、双方が話し合って納得して別れたあとであっても喪失感情を抱きます。
とくに、同棲など「共有していた空間」がある場合は、相手がいた空間が失ったものをリアルに連想させるため、より喪失感情が強くなります。
3.失恋したとき
喪失感はカップルにだけ生じるものではありません。
その人が身近に存在するから自分も頑張れたこと、その人に褒めてもらうために一生懸命になれていたことなど、片思いであってもその「気持ち」が自分自身を形づくっていたものであれば喪失感を抱きます。
喪失感のもとになる3つの「責める感情」
喪失感は「泣く」「怒る」「無気力になる」「鬱鬱とする」といった精神症状のほかに「食欲不振」「睡眠障害」などの身体症状としてもあらわれます。
これら喪失感のもとになるのは3つの責める感情です。
この感情が肥大化し、どれかひとつでも自分でコントロールできなくなってしまうと、立ち直れなくなってしまいます。以下、3つの感情をひとつずつご説明します。
1.自分を責める
「あのときもっと話を聞いてあげていたらよかった」「自分があんなこと言ったからこうなってしまった」などと過去の自身の言動に原因を探して自分を責める、いわゆる自責感情です。