(3)譲れない一線が引ける
交渉は、相手にナメられたらできません。「この人は折れるな」「別に大した材料を持っていないな」と思われた瞬間、交渉相手としての土俵から降ろされることが多いです。
「どんなに言われてもこれ以上は値下げしない」「相手に対して丁寧に接しても下手には出ない」など、きちんとラインを設けることが必要です。
交渉上手な人になる3つのコツ
簡単にできるコツがあれば誰でも交渉上手になれますが……とも思いつつ、次に私が重要だと思うポイントかつ、すぐに取り入れられることを記載していきます。
(1)見た目でナメられない
これは意外に大事。かつ、テコ入れすればすぐできることです。
見た目でナメられないというのは非常に重要です。人間、中身が知らない相手だったら、まず見た目で判断します。
「こわもて」で恰幅のいい大柄の男性と、人の良さそうな柔和な女性だったら、交渉の場では残念ながら前者に軍配が上がってしまいます。この「見た目の差」をなるべくなくすようにするのは、慣れない態度や習慣を身に付けるよりずっと楽です。
女性の場合は、メイクをしっかり仕上げたり、パリッとしたスーツとヒールで「デキる女性」を演出するなど工夫してみるのがおすすめです。
(2)しゃべり方でナメられない
「ばかっぽいしゃべり方」という表現があるように、しゃべり方で迫力を出していくことも重要なポイントです。
具体的には「でも」「やっぱり」などの話し言葉を排除していく。また「あー」「えー」などのつなぎ言葉も、できるだけ使わずに話すようにしましょう。
(1)と(2)だけでも、交渉は各段に通りやすくなります。
(3)主導権を譲らない
交渉は、相手と同等のポジションがあると思わせないと始まりません。格下と交渉しようと思う人はいませんよね。
交渉材料があると思わせないと(実際はなくてもです)、テーブルにつけないので、同じ土俵に乗る必要があります。たとえ謝罪する立場でも「今日話す内容・範囲・ゴール」を自分から提示し、相手と自分の双方が交渉の場にいると認識させることが必要です。
主導権とは決定権でもあるので、「決定すること」を自分で決めて提示するだけでも大きな意味があります。
この他に、もちろん大局を意識したり、相手の利益を考えることも重要ですよ。
交渉時に使えるメール術
普段、意外と交渉で使う機会が多いのがメールなので、最後にメール術を紹介しようと思います。しかし、正直なところ、メールで交渉を完結するのは難しいです。ビジネス上では、基本的にメールは「交渉の場に相手を出させる」ことが目的のツールとして想定するべきです。
例えばアポ取りのメールであれば、「先方から具体的な日時をもらって打ち合せの場を持つ」がゴールです。これも立派な交渉です。
(1)具体的に、かつ相手のメリットを明記する
「ぜひ紹介したい製品があるので、ご連絡ください」というメールがきたら、本当によっぽど聞きたい話でなければスルーされるのがオチです。
少なくとも、日時候補と、なぜそれを紹介したいか、紹介以外にも相手にメリットがあるなどの具体的な要素が必要です。
メリットとは、他社事例の紹介や困り事のヒアリング、および解決方法の仮説の提示などです。
(2)簡潔で要件がすぐ分かる文面にする
メールを「見てもらう」「返信をもらう」というハードルは、予想以上に高いものです。
交渉とは、相手をその場に出すことで8割の仕事が完了したともいえます。そのためのアプローチとしてのメールは、そもそも「認識させる」点に大きなハードルがあります。
暇な人ならいざしらず、交渉をしたい相手が暇なことはまれです。そうなると、悪意のないスルーは起こります。
中には、タイトルだけで重要・不要を分ける人もいます。なるべく簡潔で分かりやすく、相手の目に触れるような工夫をしましょう。