よふかしのうた
著者名:コトヤマ
出版社:小学館
【あらすじ】
不眠が続く中2・夜守コウは、初めて一人外に出た夜、美しい吸血鬼・七草ナズナと出会う。「今日に満足できるまで、夜ふかししてみろよ。少年」彼女との二人きりの夜ふかしが、コウの運命を大きく変えていく――。
【書店員すず木のコメント】
設定は不動の人気を誇る【吸血鬼×恋愛】。でも普通のラブコメとは一味違う、マンガ全体に漂うしっとりとした深夜の空気がクセになります。
駄菓子をテーマにしたラブコメ『だがしかし』で人気を博した、コトヤマ先生の最新作です。前作とはがらりと異なり、夜を舞台とした独特の世界観に、つい引き込まれてしまいます。
吸血鬼×恋愛という人気のテーマですが、「男性の吸血鬼と人間の女性」という定番とは逆で、「女性の吸血鬼と人間の男の子」という組み合わせに新しさがあります。
眠りたいのに眠れない少年・コウと、眠りにつく直前の人間の血を求めている吸血鬼・ナズナ。利害が一致しているようで、どこかちぐはぐな二人の関係が、じわじわと少しずつ進展していく…そんな様子を見守るのがとても楽しく、心地よいです。
テンポの良い会話に、文学的なセリフやモノローグの数々も印象的。思春期ならではの屈折と、キャラクターの可愛らしさ。随所に著者のセンスを感じます。
おうち時間が増えている昨今、ぜひ夜にひっそりじっくり、味わうように読んでいただきたい作品です。
書店員えい子が選ぶ!2021年にヒットする女性向けマンガ3作品
ミステリと言う勿れ
著者名:田村由美
出版社:小学館
【あらすじ】
そんなつもりは全然ないのに、なぜか物事の本質をあぶりだしてしまう、謎めいた天然パーマの青年・久能 整(くのう ととのう)。彼がさまざまな事件を解決する新感覚ストーリー!
【書店員えい子のコメント】
真実は人の数だけある。多くの価値観を受け入れていく時代に、自分の心を柔軟にしてくれる主人公が人気の予感…!
圧倒的なスケールの世界観と人間の在り方を問うファンタジー長編『7SEEDS』で知られる田村由美先生の最新作は、意外にも現代が舞台です。
「なぜ娘はお父さんを臭いと言うのか?」「なぜ人を殺してはいけないか?」その答え、あなたは考えたことはありますか?
一見事件に関係ないような雑談や、豆知識的な情報から、事件が少しずつほぐれて解決していく様子はまさに新感覚。
「事件が起こって、頭の切れる人物が推理をして、犯人を当てて捕まえる」そんな従来のミステリのお約束をぶった切る、ミステリのようでミステリじゃない不思議な世界観に、ハマる人が続出しています!
WEB広告でも様々なシーンが取り上げられ、SNSでも話題になっている本作。
巻数が増えて人気が高まりつつある今、そろそろドラマ化などをして人気爆発してほしいという期待を抑えられません!
現代社会において、自分と異なる無数の意見があることに圧倒されている人も多いことでしょう。周りの人の主張を柔軟に受け入れ、自分なりの価値観を築いていくことが必要になっていく時代。
意外な考え方のコツを教えてくれる整くんは、新しい時代に戸惑う人たちにとって参考になる存在になるはずです!
ゆびさきと恋々
著者名:森下suu
出版社:講談社
【あらすじ】
女子大生の雪は、ある日困っているところを同じ大学の先輩・逸臣に助けてもらう。聴覚障がいがあって耳が聴こえない雪にも動じることなく、自然に接してくれる逸臣。自分に新しい世界を感じさせてくれる逸臣のことを雪は次第に意識し始めて…!?
【書店員えい子のコメント】
2次元の会話を新しい技法で立体的に見せてくれるマンガ!作品を読んだ人の口コミから、今年さらに話題になりそう!
主人公が聴覚障がいの女の子の漫画、というとハードルが高く感じてしまう人も多いかもしれません。
けれど、この作品は雪のまっすぐな性格と彼女の周りの人たちの身近な日常と恋を描いた物語。
社会問題や道徳的なテーマとしてではなく、口の動きをよんだりスマホを使ってコミュニケーションする雪や周りの人たちの様子がとても自然なので、身構えずにぜひたくさんの人に読んでほしい作品です。
吹き出しの色が薄くなったり、文字の向きが一部だけ変わったりと、耳が聞こえない雪が感じる会話をマンガの中で表現する工夫の数々にも驚かされます。
コロナ禍で、誰かに直接会って話すことが難しい状況が続いています。不慣れなオンラインでの会話にも、誰かと話したい一心で参加したという体験もよく耳にしました。
場所や状況が違っても大切な人と気持ちを分かち合いたいという気持ちを丁寧に描いた本作は、コミュニケーションの大切さを痛感した時代だからこそ、多くの読者に響いていくのではないでしょうか。
また、2020年10月に発売された最新3巻では、二人の関係に驚きの変化があり、次の巻が待ち遠しくなること間違いなし!どんどん高まる胸キュンで、さらに大ブレイクの予感です。