「そろそろ器にこだわってみたい」「だけど器の知識はからっきし。何を選べばいいかわからない」今回はそんな方々へ、器集めの始め方についてアドバイスを贈ります。ぜひこの機会に「なぜ器にこだわってみたいと思ったのか」を改めて考えてみてくださいね。
茂山 夏子
知っておきたい「器集め」の魅力
「今まで器に興味を持たずに過ごしてきた」「だけど、そろそろ器の魅力に触れてみたい!」という方々へ、"器の魅力"と"器選びに役立つ豆知識"をご紹介いたします。
いきなり高級な器を買い揃える必要はありません。まずは器と料理の関係性をおさらいして、"器集めのメリット"を知ることから始めましょう。
器にこだわると、楽しみが増える
1. 料理がもっとおいしそうに見える
"美和食の大先生"として讃えられている魯山人が残した言葉のひとつに「器は料理の着物」という名言があります。言葉の受け取り方は様々ですが『器=ファッション』と捉えてしまうのがわかりやすいかもしれません。
例えば、肌の色や身長によって似合う衣服が異なったり。季節やシーンによっても、適した服と適さない服装がありますね。それぞれの料理が持つ個性と季節やシーンを考えて器を合わせれば、当然のように料理も活き活きと輝き、おいしそうに見えてくるのです。
2. 食器一つひとつに愛着が湧く
手持ちの器を「好き」「嫌い」「どちらでもない」の3パターンに分類してみると、思わぬ共通点が見つかるかもしれません。
器にこだわる。つまり「好き」と思える器を手にすれば、自然と器への愛着が湧いてきます。どうでもいい洋服は扱いが雑になりがちですが、大切な服は傷まないよう丁寧に扱いますよね。「好き」を揃えれば、今以上に器を大切にする気持ちが生まれ、洗い物も溜めにくくなるでしょう。
3. 料理するのが楽しくなる
少々不恰好な料理も、盛り付ける器によっては手作りの温かみがあふれるすてきな雰囲気に。簡単な料理も、器次第で高級レストランさながらの空気が生まれたり。
「この料理をこんな器に盛り付けたら、家族はどんな反応をするかな?」と食べる人のことを想像しながら料理を作ると、料理をもっと楽しむことができます。
まずは「自分がなぜ器集めに興味を持ったのか」を考え直してみると、器を揃える必要性、揃えるべき器の種類が明確になるかもしれませんよ♪
初めてさんへアドバイス「器の選び方」
1. 迷ったら"青色"がおすすめ
続いては、実際に器を選ぶときに覚えておきたい豆知識です。好みの器が見つかったけど、カラーバリエーションがある。そんなとき、"シンプルで使いやすい白色を選ぶ"という方が多いのではないでしょうか。
もちろん白は使いやすいのですが、料理(特に白色の料理)や盛り付けによっては、寂しい印象を与えてしまうことも。すでに「白の器はたくさん持っている」なら、青色の器をチョイスしてみてはいかがでしょうか?
"青色の料理"はあまり多く存在しないので、料理と器のコントラストをはっきりとさせることができます。青色の皿は、盛り付けた料理を際立たせてくれる効果が期待できるんです。
青は青でも、鮮やかなブルーより"深みがかったネイビー系"が使いやすいですよ。
2. 柄モノと無地を使い分ける
続いては、器のデザインから選ぶ方法。シンプルな無地の皿は、ひと皿に数種類の料理を盛り付けたいときにおすすめ。装飾がないぶん、各料理が引き立ちます。
逆に柄モノの器は、一品モノの料理を盛り付ける際に役立ちます。和食の副菜、ちょっとした箸休めなども、絵付きの小鉢に盛ると美しく映えますよね。
初めのうちは『無地の器=洋食用』『柄モノ=和食用』と考えて器を選ぶと「買ったはいいけど使いにくい……」という失敗が起きにくくなるでしょう。
3. 焼き物の種類を知る
有田焼、益子焼、波佐見焼など、焼き物にはさまざまな種類がありますね。それぞれの特徴を知って料理との組み合わせを考えて……というのは上級者向けですが、同じ種類の焼き物を並べると、食卓全体の雰囲気に統一感が生まれます。
気に入った焼き物を見つけたら、同シリーズの茶碗、器、小鉢などを数種類手に入れておくとコーディネートに困りませんよ。
まずは「好き」を探しに行こう!
「あの作家さんがすてきで~」「○○焼きは手に馴染んで使いやすくて~」このような言葉にピンと来なくても大丈夫。"器にこだわる"と聞くと敷居が高いと感じるかもしれませんが、自分が「好き」と思える器を見つけていく、それがこだわりにつながっていくんです。
「料理を楽しめない」「最近、作業的になりがち」という方は、ぜひ好みの器を探しにお出かけしてみてはいかがでしょう?きっと、お料理したい意欲が湧き、毎日に新しい楽しみが生まれるはずですよ♪