働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちがお悩み回答形式で紹介します。今回の回答者は、FP(ファイナンシャルプランナー)の山本麗子さん。
今回のお悩み「一生おひとりさまなら貯金はいくら必要?」
結婚願望が全くない私。このまま一生独身で生きていくつもりです。今は500万円ほど貯金していますが、将来マンションを買いたいし、いつか病気になった時も自分で何とかしなきゃいけない。そう考えたら、貯金500万だと全然足りないですよね……。このまま一生おひとりさまで生きていくなら、貯金はいくら必要なのでしょうか?
適切な貯蓄額は理想ライフイベントによって左右される
残念ながら、適切な貯金額を「これです」とハッキリ言うことはできません。
というのも、人それぞれ理想のライフスタイルや経験したいライフイベントが異なるから。将来的にマイホームを持つのかどうかだけでも、理想の貯金額は変わります。
そして、今や結婚せずに出産する生き方もスタンダードな時代。子どもを持つかどうかも理想の貯金額に影響するといえるでしょう。
総じて言えるのは「自分が大きなライフイベントを迎えた時に無理なく払える貯金額を準備しておくのが大切」ということ。
さらに、緊急事態で収入が途絶えた時にも生活ができるように、生活費の6カ月分は用意しておく必要があります。今回の新型コロナウイルス感染症なんかは、まさに緊急事態ですよね。何かあった時のための備えはしておきましょう。
例えば、月々の生活費に30万円かかっていて、将来3000万円のマンションを購入すると仮定します。そうすると、マンションの購入に必要な全体価格のおよそ2割程度の頭金600万円+生活費の6カ月分で、トータルおよそ780万円の貯蓄が必要です。
自分の生活費が毎月どの程度で、いくらのマンションを購入したいかを考えることで、理想の貯蓄額が見えてくるはずですよ。
マイホームはおひとりさまの強い味方になる
ハードルが高く感じがちなマイホームですが、おひとりさまの強い味方になってくれる優れもの!
自分で住むことはもちろん、例えば、転勤で住むことができなくなれば貸したり売却したりもできて、自分の資産になります。もし将来老人ホームに入る時には、売却して得たお金を入居資金にしてもいいと思いますよ。
おひとりさまなら「お金の使い道」をコントロールできる
おひとりさまとして生きていく上での金銭面のメリットは、ずばり使い道や貯蓄方法を自分ひとりで決められること。
夫婦けんかの多くが、金銭感覚の違いだと言われています。ひとりであればその心配もありません。反対に、自分に浪費癖がある場合は、止めてくれる人がいないので注意が必要。
良いところも悪いところもあるので、結局のところ、自分が納得する方を選ぶのが一番です。
「老後2000万円問題」は本当かもしれない!
おひとりさまで生涯を終えるのであれば、定年後のお金についても考えなくてはいけません。
みなさん、「老後2000万円問題」って聞いたことありますか?
総務省の2019年度の「家計調査」によると、60歳以上の単身女性の生活費は月額14万6425円。そして、厚生労働省の「厚生年金・国民年金事業の概要」によると、65歳女性の厚生年金の平均受給額は10万8813円。支出と収入を比較すると、毎月4万円ほど赤字であることが分かります。
その赤字分を準備しておく必要があります。かつ、60歳で定年を迎えてから年金の受給がスタートする65歳までの5年間は、支出だけがある状態。
つまり、14万6425円×5年分=およそ878万円と、65歳以降、90歳まで生きた場合の毎月4万円の赤字分=1128万円を足すと、トータル2006万円。本当に2000万円が必要になるかもしれないのです。
今から“自分”と“お金”の共働きを
おひとりさまとして生きていくのであれば、今から自分を守ってくれる資産を作っておきたいところ。
貯金ももちろん大切ですが、今は低金利の時代。銀行に預けているだけでは、なかなかお金は増えていかないのが事実です。
そこでおすすめしたいのが、お金にも働いてもらうこと。
マイナビウーマン世代の女性は、定年を迎えるまでにまだ30年から40年ほどある方が多いと思うので、毎月コツコツ積み立てて資産を形成していくなら、投資信託がいいでしょう。投資信託であれば無理なく続けられるうえに、運用期間が長ければ長いほどお得になるんですよ。
そして、つみたてNISAやiDeCoという節税できる制度も利用することで、賢く積み立てて将来の資金を準備できるでしょう!
備えあれば憂いなし! 自分ひとりだけではなくお金にも頑張ってもらい、おひとりさまライフを満喫できる資産を形成してくださいね。