isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
2021年上半期の運勢も配信しているので、こちらもぜひチェックしてくださいね♡
今週のおひつじ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
利己主義あっての利他主義
今週のおひつじ座は、思いやりや責任に基づく「ケア」ということを実践していくような星回り。
温又柔『魯肉飯のさえずり』における主人公は、「聖司さんにばっかり甘えてたくないの」「わたしにもできることがきっとあると信じたい」と提案しますが、それに対して夫の聖司は「お金のことは気にするなよ」「桃嘉に甘えられるのが嬉しいんだよ」と答えています。
彼女が言いたかったことが夫の聖司にはまるで伝わっておらず、「桃嘉は軽い絶望をおぼえる」。彼女は夫の自分へのケアを愁訴し、彼の言動にそれが欠如していることに傷ついている訳ですが、それでもそういう夫の主観が形づくる世界になびいてしまうのではなく、彼女なりにこうした脅威に抵抗することができています。
つまり、彼女自身がひとつのケアの倫理を能動的に具現化することが出来ている。その意味で、桃嘉は「ケアの人」としてあり得ているのだと言えるでしょう。あなたもまた、みずからが実現したい世界を象徴する原理を、何よりもまず自分自身が体現していけるかどうかが問われていくことでしょう。
今週のおうし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
戦慄と儀式
今週のおうし座は、自身をひとつの媒体にして振動させ占いをしていくような星回り。
「戦慄のかくも静けき若楓」(原民喜)で詠まれている「楓」は、作者が少年時代から親しんでき自宅の庭の楓だそうで、しばしば夢想の対象となってきたのだそう。掲句は広島に落とされた原爆の被爆数日前の作で、「戦慄」の一語は自身の運命への予感をなまなましく伝えてくれています。
作者は一命はとりとめたものの、家はその後の火災で焼失。その後、作者は原爆投下の惨状をメモした手帳を基に小説『夏の花』を書き上げ、今日でも原爆投下の状況をリアルに、そして詩的に表現した作品として評価が高いのですが、そこには被爆直後に「遂に来たるべきものが来た」と「さばさばした気持」で事態を受け入れるという描写が出てきます。
そして一方で、作家として「このことを書きのこさねばならない」と決意した後、避難の過程で想像を絶する被爆の実相を目の当たりにしていくのです。あなたもまた、作者ほどではないかも知れませんが、「来るべきもの」が訪れる予感に少なからず触れていくことでしょう。
今週のふたご座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
文明とは逆の側に立ってみること
今週のふたご座は、自分を超える存在の一部となっていこうとするような星回り。
太陽女神(アマテラス)の弟であるスサノオは大変な乱暴者であったため、死者の領域である根の国に追放されるのですが、その途中、その土地の首長夫妻が悲しんでいるのに遭遇。わけを聞くと、土地に住む大蛇が毎年いけにえを要求し、今年は自分たちの娘が犠牲者に選ばれてしまったというのです。
スサノオは、大蛇にしこたま酒を飲ませて酔わせたところに斬りかかり、激しい戦いの末にこれを倒します。倒された大蛇の体内からは、見たこともない剣があらわれ、剣と首長の娘を手に入れたスサノオは、出雲に住まいを定めて王となるのです。
この日本神話で大蛇は、自然の奥に隠された力を象徴しており、人間を脅かし食べてしまう「人食い」なのですが、乱暴者であったスサノオはそんな人食いと親和性があったため、面と向かって戦うことができた。「剣」はそんな自然の力そのものであり、スサノオの手にわたることで、単なる首長をこえた王権が誕生したのです。あなたも、どうしたら自分という存在を適切に循環させていくことができるのかということがテーマとなっていくでしょう。