今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
二度と失いたくないもの
今週のかに座は、同じ符牒の価値を知っているものと繋がっていこうとするような星回り。
ノヴァーリスは『青い花』という小説において、自身のうつしみである主人公が夢に見る憧れの花であり、追い求める詩的なイメージの象徴に「青」という質感を与えました。
それは、もうひとつの世界のそれの符牒として思い描かれている、メーテルリンクの『青い鳥』と同じ。メーテルリンクがそのお話を書くきっかけになったのは、皆既日食の体験だったそうです。彼らはかつて自分が体験した圧倒的な体験へと通じる手がかりとして、同じ「青」を符牒として用いたという訳。
今週のあなたもまた、そんな彼らのように自分が追い求めているものの符牒を何がしかの形で共有していくことがテーマとなっていきそうです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
蛇は花なり、花は蛇なり
今週のしし座は、自分だけでなく、周りを驚かしていくためのいたずらを仕掛けていこうとするような星回り。
『ポケットの蛇放しけり四時間目』(泉田秋硯)という句のごとし。小学校の「四時間目」というと、給食を食べる前の最後の授業で、ちょうど集中力が切れる頃合い。
今の子どもや大人は、外からの刺激を遮断して自閉的になる方向に傾きがちなのではないでしょうか。少なくとも、他のどの星座よりも遊びや創造性にこだわりを持つしし座にとっては、そうした惰性的な状況には我慢ならないはず。
今週のあなたもまた、「四時間目」の静寂を破るためにも、アイデアを凝らし「蛇」やそれに類するものを解き放っていきたいところです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
共に生きてきた痕跡を追って
今週のおとめ座は、時の経過にしたがって変わるものと変わらぬものを、見極めていこうとするような星回り。
すっかり姿を変えた桃園川のごとし。
荻窪駅ちかくの天沼弁天池からはじまり、中央線の周辺をうろうろするように流れていた灌漑用水路だったのですが、中央線の生まれるずっと前から存在し、暗渠研究家の吉村生さんによれば、いわば中央線とは姉と弟のような関係だったのだとか。
今週のあなたもまた、ずっと変わらぬまま自分の人生に並走するように横たわっているものとは何か、改めて考えてみるといいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
人生の通り雨
今週のてんびん座は、自意識の固いこじれをぐっと押し開いていこうとするような星回り。
『通り雨あなどり濡れて桑を摘む』(鈴木桃孫)という句のごとし。
「ぐっしょり濡れ」たわけでも、「あえて濡れた」のでも、訳の分からぬうちに「ぼんやり濡れた」のでもなく、あくまで鋭い自意識を抱えつつも大自然にしてやられた1人の人間として「あなどり濡れた」からこそ、その味わいもひと際忘れられないものになったはず。
今週のあなたもまた、自然に屈したひとりの「敗残者」としてのおのれを受け入れてみるべし。