今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
関わりの当たり前を打ち崩す
今週のさそり座は、新しい事態を前にどう振る舞えばいいのか、創造的に迷っていこうとするような星回り。
「ズー」とは、犬や馬などを対等なパートナーとして性的営みを行う動物性愛者たちのこと。ズーたちの存在は、『鉄腕アトム』や『ドラえもん』が浸透させた、人間以外のものとのパートナーシップを当たり前のものとする感性と相まって、果たして私たちは本当に人間同士で対等なパートナーシップを築けているのか。
彼らを取材した、濱野ちひろの『聖なるズー』では、むしろ人間以外とのさまざまな関係性を取り入れ、助けられることでようやく人間は社会的関係を成立させることできているのではないか、といった根源的な問いを投げかけています。
あなたも、さまざまな差別やハラスメントが横行する現代社会のさなかで、自分がどのような関係性に開かれ、生かされているのか、改めて問うてみるべし。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
淀みを糧に
今週のいて座は、あえて現実の生々しい側面にみずからを投げ入れていこうとするような星回り。
『麦笛や四十の恋の合図吹く』(高浜虚子)という句のごとし。
麦笛という間接的な合図が暗示するのは、それが大っぴらにできるものではないからで、そんな関係を「恋」などと小綺麗な言葉であらわしてみせたのは、作者なりに歌となるかならないかのギリギリのところを攻めた一句だったのかも知れません。
あなたもまた、否応なく目が向き、心がうかがってしまう人間心理の暗がりにみずから近づいていきやすいでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
自伝の編み直し
今週のやぎ座は、ストーリーを通して自伝的日常を生きていこうとするような星回り。
アントニオ・タブッキの短編「逆さまゲーム」の結末のごとし。作者のタブッキは明らかに、この<裏がわ>の世界と自身の作り出した<文学>ないし<虚構>の世界とを結びつけていることがうかがえます。
最後の「私」の述懐は、彼女がその時点でやっと虚構の世界の市民権を得たことを宣言したものであり、タブッキは自身の文学創造を通じて、どうしても素材として用いてしまうみずからの伝記的データに閉じ込められ、身動きできなくなる危険を回避したのではないでしょうか。
あなたもまた、現実とは異なる<虚構>のストーリーの侵食を受けることで、新しい創造を経た自伝を編み直していくことになりそうです。