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結婚しなくちゃ幸せになれない、なんてない。

ライフスタイル

「結婚しないと幸せになれない」「結婚してようやく一人前」という既成概念は、現代でも多くの人に根強く残っている。その裏で、50歳時未婚率(※1)は増加の一途をたどり、結婚をしない人やみずから選んで“非婚”でいる人は、もはや珍しくないのだ。日本の結婚の現状や「結婚と幸せ」の関係を踏まえ、人生を豊かにするために大切なことを、独身研究家の荒川和久さんに伺った。

超独身国家・日本を、ありのまま見つめて生き抜いていく

ちなみに、独身者や単身者が増えていくことは、ずいぶん以前から推計されていた。目を向ける人がいなかっただけなのだ。

「日本は超高齢社会といわれて久しいけれど、実は超独身社会でもあります。だって、日本の高齢者人口は3,600万人(※6)ほどですが、独身人口は5,000万人に届こうとしている(※7)。社会の仕組みづくりも、むしろそっちをフォーカスしたほうがいいのではないでしょうか。僕がこうした研究や発信を続ける理由は、できるだけ多くの人に、あらゆる視点から今の世の中の事実を把握してほしいから。その事実を正しく理解して世の中を変えていくのは政治家の役目だから、僕の仕事ではありません」

例えば少子化問題をとってみても、正しい状況把握がなされていない。出生率が上がらない理由はさまざまあるけれど、15~49歳の女性人口もその年代の有配偶女性人口も1990年代以降減っているから、というのもひとつだろう。結婚した女性の出産率はさほど下がっていないし、複数人の子どもを持つ夫婦も珍しくない。婚姻率が増えないことが問題なのだから、子育て支援だけを手厚くしてもなかなか結果に結びつかないのだと、荒川さんは指摘する。

「これまでの推計に基づいて考えると、少子化は解消されないと思います。50歳時未婚率の話といい、今までの社会は、そういう不都合な真実から目を背けてきた。でも、隠したままにしておいていい事実なんてありません。事実を事実として一人ひとりがちゃんと見つめることから、社会は少しずつ良くなっていくのではないかと思っています」

思い込みにとらわれず、変化を受け入れ、一人ひとりが自分以外の他者の行動を認め合うこと。現実をフラットにとらえた上で思考を深めていくことが、よりよい未来を切り拓いていくのだろう。

※6 出典:総務省統計局「統計トピックスNo.129 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-1.高齢者の人口」

統計トピックスNo.129 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-1.高齢者の人口

※7 出典:総務省統計局「令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要」

令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要

結婚をするもしないも自由だし、選んだ道を幸せにするもしないも、自分次第。「結婚できないのは社会が悪い」「したくもない結婚を押し付けてくる家族が嫌だ」などと言っていても、状況は何も変わりません。環境が変わらないことを嘆くより、その環境の中でどう行動していくか次第で世界の見え方は変わるし、ずっと幸せを感じられるんです。ただ、周囲のお膳立てが少ない現代でもしも「いずれは結婚したい」と考えているなら、早めに動き出すのがいいですね。早くチャレンジしていれば、もし失敗しても再トライできますから。これは結婚だけでなく、やりたいことがある人全てに共通で言えることでもあります。
取材・執筆:菅原さくら
撮影:阿部健太郎

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ソロ社会やソロ文化、独身男女の行動や消費を研究する「独身研究家」として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会―「独身大国・日本」の衝撃』(PHP新書)など。

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