料理のプロが信頼している調味料。私たちが使っているものとはどんな違いがあるのでしょう。そんな疑問に答える企画の第70回にご登場いただいたのは、ジャンルにとらわれないボーダーレスで独創的な料理が魅力の料理家・中村まりこさん。「食はアート」という彼女のお気に入りとは?
macaroni編集部
Today's Foodie
中村まりこ/料理家、SHOKUart代表
東京出身。食に造詣の深い父とウクライナ人の母から2つの食文化を習得。世界23ヵ国で生活した高校3年間を原点に、料理の道へ。ジャンルも素材も独創的に組み合わせて「empirical&unleash」を表現する「SHOKUart」設立する。
外国の方に「私達の日常の和食を伝えたい。」という思いから、日本家庭料理の料理教室 "Authentic Japanese Cooking Class" も主宰。外国人向けのWedマガジンサイトへのレシピ提供も手掛ける。ELLE grumet フードクリエイター部、料理教室 鎌倉legame cooking 主宰、フードスタイリング、レシピ開発、イベント講師、食に関する記事の執筆、を中心に活動中。
料理はアート。好奇心を満たすもの
「私にとって、お皿の上はキャンバス。料理にはアートの要素があると思うんです」
独創的な料理の数々で注目を集める料理家・中村まりこさん。色のイメージからレシピを作ることもあるという中村さんにとって、食の世界は創作の場。正解はあるようでなく、どこまでも自由で、可能性は無限に広がっていると言います。
「新しいものを見つけ、形にする。料理を通じてそういうことを楽しみたいと思っているんです。自分の好奇心を満たすことを大事にしたい」
表現のための素材、絵画でいえば絵の具や筆にあたるのが食材や調味料。お皿に描くアートに欠かせない要素について、なにかこだわりはあるのでしょうか。
「ドレッシングは買いません。完成してしまっているものは好きじゃないんです。料理全般にいえることですが、油分、酸味、旨味……すべて要素として集めて、できるだけ自分で組み合わせたい」
今回は、そんな中村まりこさんにお気に入りの調味料とその特徴、上手な使い方を教えてもらいました。「いつも新たなおいしさを探している」という彼女の愛用品、計8点。その品質にも注目です。
1.【塩】タルトゥフランゲ「白トリュフ塩」
「トリュフ塩をはじめて食べたのはいつだったか……。ちゃんとは覚えていないんですけど、この塩ひとつでびっくりするほど料理がおいしくなることに驚いて、ほしいなと思いました。
ネットで調べに調べて、本物のトリュフと塩だけでつくられているシンプルなものを探しました。そうして見つけ出したのが、タルトゥフランゲの『白トリュフ塩』。私の場合、ある程度の情報があれば味や香りの想像がつくので、味見もせずに悩むことなく購入しました。
結果、買って大正解!すばらしいと思える品でした。このトリュフ塩があれば、たとえば卵とパスタだけでもヤバイくらいおいしい料理ができあがります。最近では少量を容器に移して旅行先に持って行くことも。現地の食材をこれで味付けして食べることにハマってしまって」
2.【酢】アリサン「エデンアップルサイダービネガー」
「オーガニック食品で知られるアリサンの方に勧められて購入しました。非加熱のお酢というところ、天然の果肉が入っているところが気に入りました。
最近はこのお酢を使ってキャベツの酢漬けをよく作ります。キャベツの酢漬けは昔からよく作っていて、アップルビネガーにも馴染みはあったのですが、近頃使うのはこればかり。穀物酢よりも酸味がまろやかで、良い調味料で料理をつくると手をかけなくてもおいしくなるという事実を日々実感させてもらっています」
3.【醤油】かずさスモーク「燻製 有機しょうゆ」
「創業210年を超える千葉の老舗・大高醤油の醤油を原材料とし、最新燻製技術によって生まれたオーガニックの燻製しょうゆです。燻製ではありますが、香りも味もすごく上品。どんな食材をつけて食べても、新鮮な驚きを感じさせてくれる調味料です。
4.【味噌】奄美大島味噌
「ある料理家さんがヴィーガン料理の専門家として仕事をしていた頃、このお味噌をウチにもってきてくれたんです。ヴィーガンの人でも問題のない食材で、チーズみたいな味わい。シーザーサラダにかけるとおいしくいただけます。
これでケールを炒めることも多いですよ。ケールと奄美大島味噌は相性が良いと思います。使い慣れないうちは、味噌というよりスパイス的な感覚で使うといいかもしれませんね」