5.【オリーブオイル】ミレユンヌユイル「早摘みオリーブのエキストラヴァージンオリーブオイル プロヴァンス フランス」
「スペイン原産のオリーブの古い品種アルボサーヌ。このアルボサーヌの実から搾汁したオイル、しかも収穫後6時間以内にものだけをボトリングした単一品種のオリーブオイルです。
シーズン前半、まだ黄緑色の実だけを使った早積みタイプのオイルで、刺激がほどよく、香りと味のバランスが抜群。それでいてフレッシュな青みもしっかり感じられ、和食にも合います。だまされたと思って豆腐や納豆にかけてみてください。最近はホタルイカにかけて食べるのがお気に入りです」
6.【スパイス】ネオブランコ「シナモン」
「日本で売られているスパイスと、海外で目にするスパイス。同じもののはずなのに、違いに驚かされることがあります。香りの強さはもちろんですが、膨らみ具合や色まで違うんです。
その点、ネオブランコのスパイスやハーブは本当にものが良いと感じていて、まさに本物のシナモン。いろいろ調べて探して見つけたものですが、その品質には心から満足しています」
7.【スパイス】ネオブランコ「フェンネル」
「ネオブランコの「フェンネル」も品質は高いです。色が鮮やかで、鮮度が良いと見た目でわかる。香りも強く、華やかです。
私の場合、フェンネルはさんまのマリネを作るときに臭み取りに使います。あとは、緑茶に入れたり、お湯に入れたり。体のむくみがひどいときは、ひと晩水に漬けておいて、それを飲む。そうすると、体がスッキリするような感じがするので」
8.【その他】ネオブランコ「セブンデーツ」
「煮込み料理を作るとき、砂糖の代わりにはちみつを使う人は多いと思うんですが、私の場合はデーツを使います。
デーツにはシロップタイプもありますが、原型が好きな私はもっぱら固形。十分な甘さがあるのにGI値が低いところもいいですし、加熱するとすぐ溶ける、優秀な甘味料です。
特にモロッカン料理をつくるときに使うことが多いですね。中東由来の食材なので、中東エリアの料理に合う。甘みだけでなく黒糖に似たコクがあるので、カレーに入れるのもいいですよ」
アートな料理づくりを支える一流の味
中村さんが見せてくれた愛用品の数々。そこにはシンプルで品質が高いという共通点があり、表現のための“画材”選びにどれほどのエネルギーをかけているかが伝わってきました。
「一流の素材を味わい、味覚の幅を広げるよう常に意識しています。そうでなくては自分の枠も、料理の枠も広がりませんから」
自由に筆をふるっているようで、味の経験値というしっかりとした基盤の上で行われている中村さんの創作。新しい味を生み出そうとする彼女の料理が人を魅了し、料理家として支持されているのは、そのイメージに輪郭を与えるだけの十分な情報をもっているからかもしれません。
逸品と呼ぶにふさわしい8つの調味料。並んだボトルやパッケージの向こうに、彼女がこれから作るかもしれないクリエイティブな料理の気配がありました。
取材・構成・文/植松富志男(macaroni編集部)