厳冬になる見込みの今年の冬。それに伴う乾燥が「かかと荒れ」を引き起こすと言われています。かかと荒れを防ぐ生活習慣やケアについて、ひかり在宅クリニック 皮膚科医の今井亜希子先生に伺いました。
今年の猛暑がかかとにも影響?! ケアをしないと冬には重症化の可能性も
今年は記録的な猛暑により、かかと荒れが増加していることが想定されます。気温が30°C以上になると路面温度は50°C以上に及ぶとされ、冷房の効いた室内との行き来により、足裏の皮膚には温度差によるストレスがかかります。また冷房を1日中使用することで夏でも空気が乾燥し、皮膚には過酷な環境でした。
「素足にサンダルを着用することも多い夏は、温度差のストレスを受けやすい状態にあり、冬が始まる前にすでにかかと荒れを起こしている場合が少なくありません。夏のかかと荒れを放置していると、気温と湿度が下がる冬には、さらに重症化する可能性があるので注意が必要です。」と、ひかり在宅クリニック皮膚科医の今井亜希子先生は警鐘を鳴らしています。
画像提供:ユースキン製薬
かかと荒れの3大要素は、乾燥・圧力・血行不良
「冬にかかとが荒れやすい理由の一つとして、汗の量が減って乾燥しやすくなることが挙げられます。足の裏には皮脂腺がないうえ、汗の量が減るので、夏よりも乾燥が顕著になります。また体重の約70%の圧力がかかとにかかるので、かかとの皮膚は日々重圧に耐えています。さらに、かかとは歩くときの衝撃を吸収するために皮下脂肪が厚く、毛細血管がこの中を通って皮膚に栄養を届けています。しかし、体の末端であるため血流が悪くなりやすい部位です。
暖かい室内から寒い屋外へ出ることを繰り返したり、室内でも冷たいフローリングなどの床や寒い廊下と、暖房のきいた部屋とを行き来したりなどの温度差で血管の収縮が起き、冷えや自律神経の乱れからくる血行不良により、皮膚の新陳代謝が遅くなります。生まれた表皮細胞の入れ替わりが滞ると、荒れやすく角質が厚く固くなってしまいます。角質が厚いと、保湿成分が行き渡りにくくなるため、クリームを付けても治りにくい状態になってしまいます。」(今井先生)
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今年は厳冬でかかと荒れのリスクが増加!
「夏場だけでなく冬も1日中と夜の温度差、2前日との温度差、3室内外での温度差、の3つの温度差があります。温度差による血行不良で肌のターンオーバーが乱れると、角質が厚くなって乾燥しやすくなり、かかと荒れを引き起こします。厳冬と言われる今年は、温度差による乾燥が起こりやすいため、例年よりも注意が必要です。
痛みを感じるほどかかと荒れが重症化すると、歩き方のバランスが崩れて、歩きにくくなり、生活に支障をきたします。さらにそれが続くと膝痛や腰痛、肩こりなど全身にも影響することがあるので、早めのケアが重要です。」(今井先生)
常に負荷がかかる“かかと荒れ“はケアしないと治りづらい!
「かかとの側面がひび割れて痛みがある方の、MRI断層診断による皮膚の状態を見てみると、皮膚表面のひび割れは0.7mmの深さであることがわかります。これは角質層を超えている深さです。ここまでの深さの傷がもとに戻るには、何もしないと通常およそ2週間かかるでしょう。しかし、かかとの皮膚に全く負荷をかけずに生活するのは難しいので、実際はそれ以上かかります。つまり、かかとはケアをしないとなかなか改善しない部位といえます。」(今井先生)
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症状にあった保湿クリーム選び
かかと荒れのセルフケアは、保湿クリームの選び方、塗り方で効果が変わるそう。
「まず、保湿クリーム選びです。ビタミン配合タイプや尿素配合タイプなどがあるので、成分にも注目しましょう。ビタミンEが配合されたものは、保湿効果だけでなく血行を促進する作用もあるので、冷えが気になる方のかかと荒れケアにおすすめです。尿素配合タイプは角質を柔らかくしますが、深いひび割れには刺激になることがあるので注意が必要です。」(今井先生)
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効果感を得るためには、量・タイミングも重要
塗り方のコツは、まずタイミングです。「入浴後、角質層に水分を含んでいる時が有効です。就寝前でもよいでしょう。次に保湿クリームの量です。想像しているより多いかもしれませんが、かかとなら人差し指の指先から第一関節までの量が片足分です。最後に塗り方です。かかとを手の平で包むようにして温め、マッサージしながら塗るのがおすすめです。」(今井先生)
生活習慣で気を付けること
保湿クリームを使ったフットケアに加え、普段から足を健康に保つことを意識して暮らすことも大切です。
「足のトラブル予防には靴や靴下などのアイテム選びも大切です。ひもやベルトのない靴(パンプスやブーツなど)は靴の中で足がずれやすいため、タコができたり足の裏の角質が厚くなったりする原因になります。足に合ったサイズで、サポートがしっかりしたものを選びましょう。日常的に履くのはタイツやストッキングよりも靴下をおすすめします。足は湿ったままにすると冷えやすいため、雨の日や汗をかいた後はなるべく早く乾いた靴下に履き替えるようにしましょう。また、足の冷えにはカイロなどで温めるよりも、マッサージや軽い運動をして血流を促進するのが有効です。」(今井先生)
【フットセルフィーモニター試験結果】3日で症状が改善も
かかとの荒れを自覚している30代から50代の17名を対象に、携帯の写真でかかとの状態を確認し、ビタミン系クリームを使用したフットマッサージによるかかとケアを行うフットセルフィーモニター試験を行いました。
「17名全員が3日で改善がみられるという結果でした。フットセルフィーは、きっかけ作りだけでなく、正しいケアをすることで見るたびに症状が改善され、モチベーションアップにつながることが推測されます」(今井先生)
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