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「わけもなく気分が落ち込む」原因は?気分の落ち込みに備える2つの対策[臨床心理士が解説]

「わけもなく気分が落ち込む」「なかなか前向きな気分になれない!そんな経験はありませんか?今回は気分が落ち込む原因と対策についてお話しします。

「気分」は外からやってくる

「気分」とは、外からの刺激によって私たちの身体の内側から沸き起こってくる感覚を指します。たとえば、「船の揺れ」によって「気分」が悪くなったり、「祭囃子」が聞こえてきて「お祭り気分」になったりします。

気分を左右する要因は、自分の意思とは関係なくやってきます。天気や気温、たまたま見かけたニュース、道端に咲く花、誰かのくしゃみ……そんなちょっとしたきっかけで私たちの気分は良くなったり、悪くなったりするのです。

気分が「落ち込む」原因は?

誰にでも気分が沈む日もあれば、爽快に過ごせる日もあります。

でも、いちど気分が沈むと、なかなか立ち直れない人もいます。これは「落ち込んだ気分」に注目しすぎているから。

「どうして落ち込んじゃったんだろう?」と原因を考えたり、「何とか気分を切り替えなきゃ」と焦ったり、とにかくずっと「落ち込んだ気分」のことばかり考え続けてしまいます。そうやってあれこれ考えるうちにどんどん時間が過ぎて、「あれもこれもできなかった。自分ってダメだなぁ」とますます落ち込んでしまうのです。

気分が落ち込んだときの対策

気分が落ち込むことは問題ではありません。落ち込んだ気分に捉われるあまり、動けなくなってしまうことが問題なのです。ここでは、落ち込んだ気分から自分を取り戻す対策を2つご紹介します。

注意トレーニング

注意トレーニングは、自分の意思で注意をコントロールするための練習法です。

いきなり気分の落ち込みを感じる【本番】でチャレンジしても失敗してしまうので、まずは気分が落ち着いているときに【練習】を積み重ねておきましょう。

【練習】

1.楽な姿勢で座る
2.目を閉じて、自分の身体の感覚に注意を向ける(1~2分)
「手先が冷たい、お腹がごろごろ鳴っている、ちょっと首が痛い……」など感じてみます。
3.目を開けて、見えるものに注意を向ける(1~2分)
「窓がキラキラ光っている。空は上の方が濃い青で下になると薄い。少し黄色も混じっている……」など、見えるものの色・光沢・濃淡などをじっくり観察していきます。
「見えるもの」に注意を向ける練習に慣れたら「音」や「におい」に注意を向ける練習も取り入れてみましょう。1日1回以上トレーニングを続けるのがおすすめです。

【本番】
気分が落ち込んだときに「さぁ、落ち込んだ気分から注意を引き離すぞ!」と思うと、かえって気になって仕方なくなります。そうではなく、落ち込んだ気分にも外にも注意を向けられる状態を目指すのが理想です。

行動活性化

行動活性化は、気分の良い/悪いに捉われず、とにかく行動してみる方法です。いわゆる「気分転換」に近いかもしれません。ただ、行動活性化は「気分が良くなる」ことは重視していません。気分に捉われず行動すること自体が目的です。

行動活性化も注意トレーニングと同様に気分が落ち込む前からの取り組みが重要です。

1.ちょっとした喜びが得られる活動をたくさんピックアップする
カーテンを開ける、コーヒーを入れるなど、簡単なもので構いません。頭で考える活動よりも筋肉や感覚を使う活動がおすすめです。

2.難易度と喜びを0~100点でつける

3.点数をふまえて実際にできそうな活動を選ぶ
たとえば「富士山に登る」は喜び100点かもしれませんが、難易度も100点。実現は難しいでしょう。気軽にできそうなものを選びましょう。

4.いつ・どこで・何をするかを具体的に決める
「運動する」では漠然としすぎて実行できません。「夜7時になったらリビングでスクワットを10回行う」など具体的な行動に落とし込みます。

5.1週間続ける
気分が良い日も悪い日も取り組みます。もし、うまくいかなければ、難易度を下げるなどして翌週再チャレンジします。

行動してみて「思ったより喜びが得られなかったな」という場合も大丈夫。落ち込んだ気分に捉われずに行動できる体験を積めればOKです。

おわりに

気分が落ち込んでから「何とかしなきゃ!」と思っても、なかなか対処はできません。普段から対策しておくことが大切です。

なお、「気分の落ち込みが長く続いている」という方は、心や身体の不調が原因となっている可能性があります。一度、医療機関(心療内科)を受診してみるのがおすすめです。

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