今年の冬は寒い?! 風邪シーズン到来の今、病状での判断を慎重に。風邪とインフルエンザの見分け方を救急医療のスペシャリスト、伊藤敏孝先生が紹介します。
インフルエンザは急激、風邪は比較的ゆっくり。どちらも、ひきはじめの対処が肝心
インフルエンザと風邪は、ご存じの通り原因となるウイルスが異なる全く別の感染症です。風邪はアデノウイルス、ライノウイルスなどが原因で、インフルエンザはインフルエンザウイルス(A型・B型)です。
「一般的に大きな特徴とされるのが、インフルエンザは急激に進行し風邪は比較的ゆっくりです。症状も異なる傾向にありますので理解しておくことは大切ですが、誰もが典型的な経過をたどるわけではありませんので注意しましょう。」(伊藤先生)
インフルエンザは早めに医療機関を受診しよう
「例えば、普段から喉から風邪をひきやすい、悪寒がしたらそのあとに発熱するなど自分や家族の体調の変化に敏感であることが大切です。小さなお子さんや免疫力が低下している方、基礎疾患のある方はインフルエンザに罹るとインフルエンザ脳症や肺炎など、命にかかわる合併症を起こす危険性もありますので、症状が軽くても周囲でインフルエンザが流行っている場合は感染リスクを考えて、早めに医療機関を受診することが大切です。」(伊藤先生)
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早めの対処が大切 「セルフメディケーション」思考
「風邪とインフルエンザをご家庭で区別することは難しいです。感染法では37.5℃以上を発熱としていますが、平熱よりも高い、いつもと体調が違うと思ったら早めに対処してください。急な高熱や、強い全身症状がなければ市販の風邪薬を飲んで半日から1日様子をみましょう。ただし、症状が軽くてもインフルエンザやその他の感染症の可能性があるため、外部や家族間の接触は極力減らしましょう。」(伊藤先生)
解熱鎮痛剤として覚えておきたい 「アセトアミノフェン」
「発熱時、医療機関等でもらう解熱剤として聞き覚えがあるのは“アセトアミノフェン”ではないでしょうか。市販の風邪薬にも解熱成分として入っています。アセトアミノフェンは穏やかな効き目でお子様やお年寄りにも処方されます。微熱や悪寒があるときには上手に使って様子をみてください。」(伊藤先生)
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風邪薬のニューノーマル、プラス漢方発想の常備薬とは?
風邪のシーズン到来前に、家庭の常備薬として生薬プラス処方の風邪薬を備えておきましょう。風邪のひきはじめに早めに飲むことが重要です。風邪をこじらせると、せきやくしゃみ、鼻水など周囲にわかる症状が長引き、学業や仕事にも影響を及ぼしかねません。いつでもすぐに飲めるように、生薬プラス処方の風邪薬を家庭の救急箱に入れておけば安心です。また、小さなお子様から飲めるものを用意しておけば、自分の家族やもしもの時に周囲の人にも分けてあげることができます。
教えてくれたのは…伊藤 敏孝(いとう としたか)先生
新百合ヶ丘総合病院救急センターセンター長。救急医外科医。防衛医科大学卒業後、横浜市みなと赤十字病院救急部部長を経て現職。救急医療のスペシャリスト。日本救急医学会専門医・指導医・評議員、日本集中治療医学会専門医、日本外傷学会評議員・専門医。