今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
いったん人間やめたってよ
今週のさそり座は、日頃あまりにもあっさりと意志にまとめ上げてしまいがちな情報のすり合わせプロセスを、丹念にたどっていこうとするような星回り。
私たちはつらい出来事が起きると、どこかで区切りをつけて「前向きに進んでいく」ことをよしとする傾向がありますが、ハイデガーという哲学者は、そこで無意識的に行われる「過去を自分から切り離そうとする」ことこそ、実はみなが有難がっている「意志」の本質に他ならないのだと喝破しました。
そして、それを受けて日本の國分功一郎は、むしろ逆に「意志という概念こそ『薬物的』なのではないか」と指摘しています。
あなたもまた、意志がもたらすある種のパターナリズムを解除して、かすかな違和感やまとまらなさに踏みとどまっていくべし。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
過剰な文明化への反動
今週のいて座は、なんとはなしに兜の緒をゆるめていこうとするような星回り。
『日の春をさすがいづこも野は厠』(高山れおな)という句のごとし。掲句では季節の移り変わりや暖かい日差し、目の前に拡がる自然に対して、ただただ自分が受け身でいることを表しています。
帰結としての「野は厠」というのも、ただ羽目を外したとか我慢ができなかったという文脈をこえて、対象と同一化してしまったということなのではないでしょうか。
あなたもまた、無意識のうちに過剰になっていた自己防衛機制を、いかにゆるめていけるかということがテーマとなっていきそうです。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
日常からの抜け出しとしての手紙
今週のやぎ座は、居ながらにして日常から抜け出していこうとするような星回り。
私たちが暮らす社会は、既にあらゆる不動の枠がはずれてしまい、人びとの目移りはとどまるところを知らず、きのう注目された事物はきょう忘れられ、きょう注目された事物はあした忘れられるような暮らしを余儀なくされているように感じます。
そうした私たちの生活ぶりについて、社会学者のバウマンは「常に流されて旅するしかなく、一ヵ所に静かに留まることは叶わない」のだと表現しています。すなわち、一見ありふれた生活、何気ない出来事のように見える「身近なもの」などを日常性から切り離し、引き剥がしたうえで、その一つひとつを奇怪かつ不思議な謎として扱い、旅の風景を描き出す紀行文として伝えてみること。
あなたもまた、そんなバウマン式のスタイルを自分なりに取り入れてみるといいでしょう。