子育てをしていれば、子どもを叱るのは必要なこと。でも中には、叱ると泣いてしまったり怖くて固まってしまうような子どももいます。少し叱っただけでも萎縮してしまうような子には、どう接したらいいのでしょうか?保育士ライターの炭本まみさんが解説します。
子どもを叱るときってどんなときでしょうか。同じいたずらを繰り返すとき、ルールを守らないとき、人に迷惑をかけたとき、人に悲しい思いをさせたとき…。いろいろな場面で子どもを叱りますね。
日々の子育ての中で子どもを叱るのは当然のこと。子どもの心を育てる上で欠かせないことです。
けれど、叱るとおびえたり、泣いたりと「萎縮」し、元気がなくなったりいつまでも気にしてしまう繊細な子どももいます。
なぜ必要以上に気にしてしまうのでしょうか。どのような「叱り方」がよいのでしょうか。保育士ライターの炭本まみと一緒に、考えてみましょう。
繊細な子どもとは?
叱られたときに黙り込んでしまったり、涙を流したり、叱られないか大人の顔色をうかがうなど、おびえる様子を子どもに感じることはないでしょうか。
叱られる場面のほかにも、以下のような特徴がある子どもはちょっと繊細さのある子です。
・人前に出たがらない
・知らない人と話さない
・大きな音を怖がる
・新しい場所に馴染めず、親のそばから離れない
・お昼寝をしていても物音ですぐに起きたり、親を探して不安がる
子どもにこんな様子があったら、心配になったり悩んだりしますね。
気にしすぎじゃないの? もっと元気出していこうよ、など励ます言葉をかけたくなるかもしれません。
年齢が小さければ、ドキドキする気持ちをパパやママに具体的な言葉で伝えられず、表情が乏しかったり、泣くことが多いと感じるでしょう。
少し年齢が大きくなってくると、上記の様子のほかにも、些細な変化に気づく、人の考えていることを察する、失敗すると深く落ち込むなどの様子も見られます。
このような繊細さのある子どもに、強く叱ったり、感情的な言葉を投げかけると、いつまでも引きずったり、親の顔色ばかりうかがっておびえるようになることもあるでしょう。
それでは、叱らなければならない場面でどのように対応をしたらいいのでしょうか。
「何やってるの!?」を「どうしたの?」へ
子どもを叱るとき、叱る場面を見て即座に出る言葉は「何やってるの!?」が多いのではないでしょうか。
「そんなことをしてほしくない」「それはいけないことだから止めてほしい」
という気持ちよりも先に、
「またやってる」「何度も言ってるのに」「いい加減にしてよ」
という感情が先立ち、いら立った感情から「何やってるの!」という言葉が出てしまいます。
「してほしくないこと」を感情的にならず、一呼吸おきたいもの。けれど、忙しい毎日の中で、そんな心の余裕を持つのは至難のワザですよね。筆者も子育てをしているのでよくわかります。
筆者の子どもはとても繊細で、ちょっとイライラした気持ちで叱ると部屋の隅に隠れてしまうこともありました。そこで「どうしたの?」「何がしたかったの?」と聞くようにしています。
この言葉は、叱られることに対してすぐに萎縮したり、傷つきやすい心の敏感な子どもにも柔らかく伝わり、発する大人もひと呼吸おける言葉です。
また、「どうしたの?」という言葉は子どもに対して事情を聞いたり、心に寄り添う言葉でもあります。
すぐには難しいかもしれませんがイライラ言葉を「どうしたの?」に置き換えてみるのはいかがでしょうか。
安心できる時間と対話で「自信」をつけてあげる
ちょっと繊細な子、敏感な子、叱ると萎縮してしまう子は、どのように叱ると良いのかもう少し掘り下げて考えてみましょう。
繊細な子どもは、大人の表情や声の調子をよく観察しています。大声で怒鳴ったり、感情的な言葉をぶつけるのはやめましょう。
伝え方のコツは、ママやパパがどう感じたか、どうしてほしい・望ましいのかを伝えることです。
・そういうのは危ないからやめようね
・ママはそんな意地悪は嫌だな。もうしないでほしいな
・いつもそんなことをしないのに、何か理由があったの?教えてほしいな
・こぼれちゃったね(失敗したね)、こうしたらこぼれないよ
叱るというよりは、会話をすること、どうすれば良かったのか伝える方が、敏感な子どももおびえずに話を受け入れられるでしょう。
叱ると委縮する子どもだからといって、叱ることを遠慮する必要はありません。
ただ、言い方に配慮したり、子どもの失敗を受け入れながら一緒にどうしたらよかったかを考える姿勢なら、失敗や叱られることを恐れることなく少しずつ自分に自信が持てる子どもになっていくはずです。