宝物であり続ける
「文房具は、標準的な使い方をすれば長く使うことができ、大人になってからも変わらずに愛用し続けることができます」と、鍋田さんは話します。
「鉛筆や消しゴムは完全になくなるまで使うことは難しいので、私は『最後を見てみたい』という気持ちがあって、ちびて使えなくなってもなんとなく捨てられずにいます。愛着やストーリーが詰まっているから、数十年前の文房具でも宝物であり続けるのでしょう」
例えば、入学のお祝いなどで祖父母や親戚から贈られることがある、万年筆や色鉛筆。引き出しの隅に箱のまま眠っていないでしょうか。
「中学生のときに叔父が色鉛筆をくれたのですが、大人になってから画材屋で同じものを見つけて、有名ブランドのものだったのだとわかったことがありました。高価なものだったのに当時は価値がわからなかったんですね」
「時間が経つと再び価値が生まれたり、親から子どもへと受け継いで長く使えたりするのも、文房具のおもしろさだと思います」
クレヨンの意外な使い方
STOCKMARの「みつろうスティッククレヨン」は、もともと養蜂業を営んでいたシュトックマーが開発した天然素材のクレヨンで、ドイツの厳しい食品安全基準のもと、誤って口に入れても害がないようにつくられています。
シュトックマー「みつろうスティッククレヨン」8色 缶 2541円(下) / 16色 木箱 7150円(上)
Akiko Kobayashi / OTEMOTO
子どもに握りやすいブロックタイプがあり、重ね塗りすることで中間色を生み出すこともできるそう。やや高価ですが、子どもの成長を願う贈りものにぴったりです。
しかも、みつろうクレヨンにはこんな意外な使い方もあるそうです。
Akiko Kobayashi / OTEMOTO
「布地にみつろうクレヨンで好きな絵を描き、あて布をしてアイロンをあてるとロウが定着し、オリジナルのバッグやハンカチをつくることができますよ」(鍋田さん)
価値を再発見することができる文房具。大人になった今こそ、探しに出かけてみたくなります。