神山まるごと高専でも、文部科学省「学校給食における地場産物・国産食材の使用状況調査」と同じ方法で、給食の「産食率」を、昼食2メニュー、夕食2メニューの4カテゴリーで毎日計測しています。2023年4月は、産食率が高いメニューで73%、低いメニューで47%でした。
この調査法では、加工品は町内の加工業者がつくっていたとして原材料が地元産でなければ「地産」としてカウントされないため、豆腐やパンなどの加工品が主食や主菜となっているメニューでは産食率が低くなる傾向があるといいます。
「『地産地食率・日本一』を目指していきますが、同時に地元だけでなく全国にいるつくり手を尊重し、つくり手への理解や一次産業へのまなざしを育んでいきたいです」(樋口さん)
給食は食堂のメニューとは異なりあらかじめ栄養価の計算が必要なため、1カ月半前に献立表を決め、食材の発注の見通しを立てなければなりません。献立表に沿いつつも地元で採れた食材や旬の野菜をできるだけ使う、「生きた給食づくり」に挑戦しています。
週末のクッキングなどで使えるプレートは、知的障害者のアートを商品化・ライセンス化して価値を高める「ヘラルボニー」が提供
汁椀は地元の人たちがプレゼントしてくれた
Akiko Kobayashi / OTEMOTO
野菜づくり、はじまる
週末の「まるごと食堂」。給食はお休みとなり、学生たちは自由にキッチンを使って料理をすることができます。
「つくる人も食べる人も食堂に集まって、みんなでわちゃわちゃするのが楽しい」と1期生の宮脇悠花さんは語ります。
各分野の起業家が訪れる毎週水曜日は、憧れの起業家と夕食をともにして起業体験に耳を傾ける学生たちもいます。
給食をお腹いっぱいに食べ、午後の授業を受けるため校舎に戻っていく学生たち
Akiko Kobayashi / OTEMOTO
フードハブ・プロジェクトは同校の「プログラムパートナー」として、5年生の前期に「食農ワークショップ演習」という授業を担当する予定です。ところが学生有志が早くも「まるごとファームクラブ」を設立し、部活動として野菜を育て始めました。
自分たちでやりたい部活を作るのが
神山まるごと高専流です🥰
今回は「まるごとファームクラブ」のご紹介です👏
実際に農作物を育て、生産者側の楽しさや大変さを理解することを目的に発足されました。
1期生44名のうち、
31名が参加している部活動になります。
今回はキュウリを収穫し、…pic.twitter.com/UPswL1d3J6
「デザインやテクノロジー、起業を学びたくて神山に来た学生たちが農業や食にどれくらい関心をもってくれるかは未知数だったのでうれしいです。食材を『まるごと食堂』に提供してくれる日を楽しみにしています」(樋口さん)
学校の敷地内の菜園で芽吹いたきゅうりやオクラは、たっぷり陽の光を浴びてすくすくと育ち、この夏、学生たちが収穫しました。