教師の負担も大きい中で、学級人数も学級数も多い都心部では特に、「標準」に合わせざるを得ない学校に対し、それ以外の場所で学ぶ選択肢が出てくることは、きわめて自然でもあり、必要でもある。
東京都中野区の東京コミュニティスクール(TCS)では今月、学園祭が開かれた。案内役も、チケット販売も、学校紹介のプレゼンテーションも、すべて子どもたちの手作りだ。
東京コミュニティスクール(TCS)の学園祭の様子
Madoka Nakano
TCS理事長の堀江由香里さんは、こう話す。
「不登校の子どもたちが増える中、公的な支援の数や多様性はまだまだ足りていません。不登校になる理由も様々である他、現状の学びに対して不満や窮屈さを感じながら他に選択肢がないため我慢している児童や生徒たちの学びの場を確保するためにも、フリースクールやオルタナティブスクールの存在は必要不可欠です」
Madoka Nakano
小椋市長の発言の背後には、「楽な選択肢」「学校に行っている子たちが、ずるいと思うのでは」という考え方があるのではないかと推測される。しかし、フリースクール側もただ単に子どもを好き勝手させているわけではない。
通わせる親も安易な道に流れているというよりはむしろ、必ずしも基礎学力が身に着かないのではないかとか、ここでもダメだったらどうしようなどと不安もあるかもしれない中で、様々なトレードオフについて熟慮のうえ、我が子が笑顔になれる場所を探す労力をかけて選んでいるというのが実態ではないか。
TCSは現在、小学1年生の4月にほとんど定員が埋まり、積極的選択として通う子どもがほとんどだというが、堀江さんは「フリースクールやオルタナティブスクールは公立学校の存在を否定するものではない。未来を担う子どもたちの学ぶ意欲を高め、成長するための多様な学びの場を実現するため、公教育はもちろん、フリースクールやオルタナティブスクールが連携していくことが重要」と言う。
それを国が認めていくというのは、まったく「がく然」とするようなことではない。