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再開発が進む下北沢に集うミツバチたち。シモキタ生まれのハチミツが、変貌を遂げる街の新たな「名物」に

旅行・おでかけ

地元住民に愛される名産品に

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遠心分離器にかけ、蜜ろうを濾して採蜜する
Hirohiko Namba / OTEMOTO

人との共生を目指して見つけたビルの屋上で、我が子のように大切に育てている40万匹以上ものミツバチ。こうして彼女たち(働きバチは全てメス)がシモキタ周辺のさまざまな場所から集めてきた花蜜を元にできるハチミツが、いわゆる百花蜜。「シモキタハニー」としてシモキタ園藝部が運営する店舗「ちゃや」などで販売されているほか、商店街が行うアンケートやキャンペーンの景品としても採用されています。

35gが500円、125gが1700円、230gが3000円で販売されているシモキタハニー。125gと230gはリターナブル瓶(詰め替えで繰り返し使用可能な瓶)を採用し、2回目の購入の際には同じ瓶の使用で500円引きで販売されています。ゴミの削減というエコな観点も意識しつつ、事業を継続させていくためのマーケティング戦略としても機能していると杉山さんは話します。

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Hirohiko Namba / OTEMOTO

「休日は観光客でごった返すシモキタですが、長年この地に根ざして生活しているという人も多いんです。そこでハチミツを販売するなら、まずは住民に受け入れてもらうことが不可欠。そのため、最も小さい35gは手に取りやすいワンコインの500円にしました。そして、一度試してみて気に入ったら、リターナブル瓶のサイズを買ってもらう。次からは500円引きの特典が受けられる常連になってもらうという、循環も意識した戦略で事業を進めています」

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125gと230gはリターナブル瓶のため繰り返し使用でき、空き瓶を持参することで500円の割引が受けられる。
Hirohiko Namba / OTEMOTO

シモキタハニーは、世田谷区のふるさと納税の返礼品にも選ばれています。また、区にゆかりのある商品から選ばれた「世田谷みやげ」にもなっているなど、シモキタを代表する商品としても少しずつ知名度を上げています。

「なかには『シモキタの名産品になっているよね』と言ってくださる方もいて、農業や畜産業がないこの街で、新たな一次産業を始めることができたという自負はあります。もちろんハチミツそのものがおいしくなければ話になりませんが、いつ採蜜しても本当においしいんですよ。それは、シモキタ園藝部が大切に手入れをしている下北線路街の緑地をはじめ、近隣の住宅や公園に美しい草花がたくさん咲いているおかげもありますね。採蜜日を書いたラベルは蓋にも貼っていますが、その時に咲いている花などの種類によって味が変化していくのがシモキタハニーの特徴。季節の移り変わりとともに味比べもできる、地元産の自慢のハチミツなんです」

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