今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
切に望むもの
今週のさそり座は、誰かに愛してもらう必要性やその度合いについて冷静に計測していこうとするような星回り。
社会学者・上野千鶴子は1990年に発表された「恋愛病の時代」において、「恋愛病は近代人の病いだ」と書いています。
一昔前には当たり前とされた「経済的に自立できない女」と「生活的に自立できない男」の相補的な「結婚」モデルの無理や不自然さが加速化し、崩れつつある現代において、私たちは再びただの「個人」として「恋愛したい(愛されたい)」と深く渇いているのでしょうか。
あなたもまた、どのような位相において自分は渇いているのか、改めて振り返ってみるといいかも知れません。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
何もないが何かがある
今週のいて座は、後ろ髪を引かれる感覚の繊細さにきちんと意識を向けていくような星回り。
『緑陰に襟足の吸い込まれたる』(宮本佳世乃)という句のごとし。掲句は、なんとなく不安に駆られ、足早に緑陰を通り過ぎようとしたところを、ひゅっと襟足が吸い込まれたというのだ。
これはどういうことなのか。もちろん、現実に起きた出来事というより、ある種の妄想ないし幻覚に近い体験なのだろう。
あなたもまた、なぜそうなったのか分からないという出来事ほどさっさと結論を出さずに、あえてひきずってみるといいだろう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
山に入る
今週のやぎ座は、どこかで「人間の消滅」ということを疑似体験していこうとするような星回り。
民俗学者の柳田國男は、数千年来の庶民の暮らしやその口伝を研究した『山の人生』のなかで、「生活の全く単調であった前代の田舎には、存外に跡の少しも残らぬ遁世が多かった」のだと述べたうえで、蒸発ということも起きてはならないことと言うより、「普通の生存の一様式」であったのだと指摘しています。
現代人には、「山に入る」機会や選択肢が必要なのではないかと思うことがありますが、とりわけ劣等感や自己承認欲求を持て余している人などは、長い人生の中で一度は「ふらふらと山に入って行く」ような体験があるほうが自然なのではないでしょうか。
あなたもまた、一時的にであれ俗世との関わりを断ってみたり、遁世の術をかましてみるべし。