見た目の美しさやSDGsの観点から、今、注目の金継ぎ。気になるけれど、自分でやるのは難しそう……と思っていませんか? 「金継ぎ暮らし」では本漆を使わず、2時間でできる簡易金継ぎの体験教室を開催。まずは、簡易金継ぎを入門編として、金継ぎの世界、器を使い続ける大切さを知ってみませんか?
そもそも金継ぎとは? 簡易金継ぎって何?
金継ぎとは、陶磁器などの割れや欠けを漆で結合したり埋めたりして修繕し、継ぎ目に金粉や銀粉を撒いて装飾を施した漆芸技法。破損してしまった器も、美しく化粧された継ぎ目を個性として愛でながら使い続けることができ、室町時代のお茶文化の発展とともに進化していったといいます。
黒漆で仕上げたものや絵を描いた見立て仕上げのもの
伝統的な本漆の金継ぎは、漆に湿度を加えて工程ごとに乾燥させる必要があり、仕上げるまでに1~2カ月かかります。また、漆の状態を見極めるのに練習が必要。漆に触れると肌がかぶれてしまう可能性もあり、初めて挑戦するには敷居が高いと思われがちです。
今回ご紹介するのは、本漆を使わない簡易金継ぎ。漆を使用しないので肌に漆かぶれが起こることはありません。数時間で仕上がり、自然乾燥でOKなので体験したその日に持ち帰ることができます。材料の使い方も簡単で失敗が少なく、金継ぎの入り口としては最適です。
多くの簡易金継ぎでは食器に使えない接着剤などを使用しているため、金継ぎをした器は花瓶や小物入れにするなど、食器以外の用途でしか使えません。しかし、「金継ぎ暮らし」で使用する道具はすべて国産、また、厚生労働省の食品衛生法基準をクリアしているので、再び食器として使用することが可能です。ただし、スポンジで手洗いし、食器洗い乾燥機は避ける、電子レンジやオーブントースターはNGなど、使い方に注意が必要です。
少人数制なので学びやすい! 手ぶらもOK!
「金継ぎ暮らし」が運営している教室は、自由が丘、六本木ヒルズ、府中、大宮の4つ。自由が丘と六本木ヒルズは週4日、府中と大宮は不定期でワークショップを開催しています。
今回体験に訪れたのは六本木ヒルズ教室。日々の暮らしを豊かにしてくれる国内外のアイテムが揃ったセレクトショップ「g KEYAKIZAKA」の一角で行われています。
六本木ヒルズ教室の定員は4名。7・8割がソロでの参加だそうです。器という共通の話題があるため参加者同士で会話も弾み、ワークショップは和気あいあいとした雰囲気になることが多いといいます。
「割れた器を直したい」と自分の器を持参する人も多くいますが、器がないけれど体験してみたいという場合は教室で用意している器を購入して金継ぎすることもできるので、予約時に申し込みましょう(いずれも300円)。これらの器は配送時に割れてしまったなど、廃棄するしかなかった器を買い取ったもの。「金継ぎ暮らし」では、金継ぎを通して「器を大切に使う」ことを伝えるだけでなく、このような活動からもSDGsの目標「12:つくる責任 つかう責任」へ取り組んでいるのだそうです。
使用する道具の一部
また、接着剤、合成うるし、エポキシパテ、真ちゅう粉、筆などの道具もすべて借りられるので、手ぶらで参加することも可能ですよ。
初めてでも簡単にできる簡易金継ぎを体験
今回は、教室で器を購入し簡易金継ぎを体験しました。選んだのは茶色い茶碗。金継ぎについての説明を受け、体験スタートです。
まず、割れた断面に接着剤を付け、結合させます。5分ほど手で動かないよう押さえるのがポイント。しっかりくっついたら、綿棒やネイルリムーバーではみ出た接着剤を取り除いて接着完了です。
次は欠けている部分を補修。指で練ったエポキシパテで欠けを埋めていきます。
欠けの形に合わせて余分なエポキシパテは竹串で取り除いて調整し、指と竹串を使いながら表面をならしていきましょう。
10分ほど経ってエポキシパテが固まったら、紙やすりで表面をきれいに。まずは目の粗いものを使って、周りと厚さや高さを整えます。時間のかかる作業ですが、シャッシャッという音が心地よく響きますよ。やすり具合は、目で見て、指で触って確認。形が整ったら目が細かい紙やすりで光沢感を出します。