今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
昏いものに突き当たる
今週のかに座は、善良な小市民としてのセルフイメージなぞどこかに投げ捨てていくような星回り。
『初空や大悪人虚子の頭上に』(高浜虚子)という句のごとし。社会や業界のなかで大きな役割を果たす人ほど、毀誉褒貶が激しいというのは世の常。悪評の理由などというものも突き詰めていけば、その影響力の大きさや無視できなさの裏返しに他なりません。
そういうことをよく分かった上で、作者はあえて善良な小市民としての生き方ではなく、みずから「大悪人」としての生き方を選び、受けて立つぞという姿勢をここで示してみせたわけで、実際作者のそういうところに魅力を感じていた人も多かったはず。
あなたもまた、いい加減自分の「悪人」ぶりを認めて、いっそおおっぴらに示していくといいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
安全地帯の壁を取り払う
今週のしし座は、どれだけ嘲笑されようが、時代の先にあるべき現実の姿を自分なりに想像していこうとするような星回り。
2025年はZ世代を中心に、現代人の日常からすっかり失われてしまった共同体体験や、深いつながりを取り戻していこうとする動きが活発化していくように思われるのですが、ここで思い出される事例の一つが、フーリエの構想した「ファランステール」です。
フランス革命と同時代に生きた思想家のフーリエは、戸建ての家は隣人を締め出す無駄な障壁であり、疎外感と孤独感を呼び起こすと考え、富と権力のヒエラルキーから離れた自然豊かな場所での、共同生活の利点を生かした自給自足の1620人規模の農村協同体を構想しました。
あなたもまた、どんな家や生活こそが理想的なのか、改めて考え直してみるといいでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
あやしい共感
今週のおとめ座は、なぜか懐かしさを感じる情景におのずと吸い寄せられていくような星回り。
『若水を汲まん荒縄靴に巻き』(南うみを)という句のごとし。凍りついた雪の上で滑らないよう荒縄を靴に巻きつけ、今まさに井戸まで水を汲みに行くのだ。
そういう存在しないはずの記憶を思い出していくような仕方で、私たちは少しずつでもそれ以前とは異なる存在となり代わって、何らかのよみがえりを果たしてきたのではないでしょうか。
あなたもまた、経験していないはずの記憶を思い出していくことになるかも知れません。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
永遠の原始人たれ
今週のてんびん座は、「愛する」という虚しい言葉の代わりとなるような感覚をつかんでいこうとするような星回り。
人間はしょせん「断片的な存在」であることから免れえず、それゆえに、私たちが分断を前にして可能なことはただ「嫉妬深い、恨みがましい、妄執の鬼と化するに終る」ことだけなのだと述べたのは、近代文明が人間生活にもたらす悪影響を一貫して主題として扱ってきた作家D・H・ロレンスであり、その最晩年の論考である『黙示録論』でした。
いつの世にあっても人間は人間である限り他者や何らかの共同体との結びつきを求め、その成果として近代文明を築くにいたった訳ですが、ロレンスはそうした近代社会的な精神の在り様を厳しく批判しています。
あなたもまた、有機的宇宙の一部としてあるべく、できるだけ頭の声ではなく生き物としての本能に従ってみるといいでしょう。