今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
かすかな違和感から
今週のさそり座は、ひとり粛々とセレモニーに入っていくような星回り。
『初春や島田おもたきタイピスト』(日野草城)という句のごとし。この句は昭和のはじめのオフィスの光景。当時はまだ珍しかったであろうモダンなオフィスにモダンな職業婦人であるタイピストが働いているはずなのですが、ふだんは洋装の彼女たちも初出勤は和装だったのでしょう。
新年最初の出勤は和装でいってみなで初詣に出かけるといった昔の名残をのこしたような風習も、今ではすっかり失われてしまったどころか、リモートで出社そのものさえ行わない職場も少なくないのではないでしょうか。
なたもまた、すっかり形骸化してしまった日常に喝を入れ、再構築していくことがテーマとなっていくはずです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
うめき声とともに
今週のいて座は、理性的な頭とは別個に存在する、自分の中のどうしようもない業のようなものを自覚していこうとするような星回り。
生涯を数多の旅に生きた江戸時代の俳聖・松尾芭蕉の遺稿から旅の記をとりあげ、死後に刊行された『笈の小文』は、その冒頭から読む者に切々と訴えかけてくる独特の迫力があります。
芭蕉ははじめから俳諧師を目指していた訳ではなく、「しばらく身を立む事をねがへども」とあるように、侍として出世することを願い、また、仏道を学んで精神の充足を求めたが結局は俳諧が妨げになり、どちらにもなり切れなかったのです。
あなたもまた、芭蕉ほどいのちがけの旅をすることは難しくとも、それくらいギリギリのところで「徒手空拳の戦い」を展開していきたいところです。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
雪と音と存在と
今週のやぎ座は、「存在」の定義をもっと身近に感じられるものへ書き換えていこうとするような星回り。
『思ひ出すやうに降る雪手紙書く』(名取里美)という句のごとし。今にも雪が降りそうな重い曇天が広がっていたのでしょう。
そんな空の力みがふっと抜けたような瞬間に雪が降ってきた。そのなんとも言葉にしようがない“感じ”を「思い出すやうに」と形容しているところに、思わず深く納得させられてしまう一句。
あなたもまた、生きようと思える気持ちをそっと下支えしてくれるようなものにこそ、そっと手をのばしていきたいところです。