日が暮れるにつれてネガティブな考えが強くなる傾向があるのは、あなただけではないかもしれない。
新しい研究において、精神的な健康の状態には、1日のうちでパターンがあることが明らかになった。概して、人は朝に最も気分が良く、落ち込みや不安の症状、および孤独感が最も少なく、幸福感、人生の満足度、生きがいを感じる度合いが最も高いことが分かった。また、深夜12時頃には最も気分が低下することも明らかになった。
気分と時間帯、曜日、季節の関係
この研究では、英国の成人49,218人を対象に2020年から2022年にかけて調査を実施し、100万件近い回答を集めた。精神的な健康の状態については、有効性が確認された測定ツールを適用したオンラインアンケート、または「この1週間で、どの程度幸せを感じましたか?(幸福感)」「人生にどの程度満足していますか?(人生への満足度)」「生活の中で、自分のしていることにどの程度価値を感じましたか?(生きがいを感じる度合い)」といった質問を直接行い測定した。
主な調査結果は以下のとおりとなった。
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この研究は治療や介入を行わず、データ分析を行う観察研究であり、因果関係の証明はできない。また、影響を及ぼす可能性がある、睡眠サイクル、緯度、天候に関する情報は入手できていないと研究者は述べている。
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なぜ夜になると気分が落ち込むのか
しかし、1日のうちの精神的な健康の状態の変化は、1日のうちに起こる様々な生理学的変化によって説明できる可能性もある。その一つとして、ネガティブな感情を軽減する神経伝達物質であるセロトニンのレベルは、夜が近づくにつれて減少する。「このような脳の構造の変化により、ネガティブな感情がより深く根付いてしまいやすくなるのです。」と精神科医ロスティスラス・イグナトフ氏は言う。また、疲労などの理由も考えられる。「深夜になると、私たちは何かを決めることに疲れを感じます。朝一番ではまだあまり決断をしていませんが、1日の終わりには大小さまざまな選択を何百回もしています。その時点で、私たちは精神的に、そして心理的に疲れ果てているのです。」と心理学者スーザン・アルバース博士は話す。
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浮き沈みを活かし、夜の落ち込みを抑えるには
「1日の気分を記録し、自分にとって何が最適なのかを見極めましょう。もし自分のこれまでの経験がこの研究結果と一致するようであれば、最も集中力が高まり、エネルギーや気分も最高の状態になる朝一番に、重要な仕事や難しい仕事を計画するようにしましょう」とあるアルバーズ博士はアドバイスする。そして、規則正しい就寝前のルーティンを確立することは、心と体に「リラックスする時間だ」と伝える術となる。眠るための体の準備にもなり、心配事にとらわれることなく眠りにつくことができる。「読書や軽いストレッチ、ハーブティーを飲むなどの習慣は、活発になりすぎた状態を鎮めるのに効果的です。」とイグナトフ氏は話す。
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