963hankoさん
ほかの作家さんの作品を見ると、本当に細かくて綺麗に彫られていて、もっと技術を上げたいなと思うこともあります。でも、ある日父に「綺麗な線は機械が彫ればいい。人がつくるんだから、そのままでいいんだよ」といわれて、すごく腑に落ちたんです。彫刻刀のちょっとしたズレで線が歪んだり、予期せぬ表情が生まれたりする。でも、お客様からは「963hankoさんの雰囲気が好き」といっていただけるので、それも私の味なのかなって思えるようになりました。
持ち手となる木材も、手に馴染むように角をやすりで丁寧に面取りするなど、細やかな部分にまで使う人への思いやりが感じられます。
日常にあふれる「かわいい」が、はんこになる
963hankoさん
子どもたちとの日常の会話や、ふとした表情、仕草からひらめくことが多いですね。娘と「山の音楽家」の歌を一緒に歌っていたときに、「楽器を演奏するクマを描きたい!」と思って生まれたのが、「山の音楽家に入りそびれたクマ」のはんこです。つくり終わってから、歌にはクマが登場しないことに気づいて、この名前になりました(笑)。
963hankoさん
あと娘の歯が抜けたとき、なんともいえない愛らしい表情をはんこにしてSNSに載せたら、「うちの娘にそっくり!このはんこが欲しい!」という声をいただいて。それがきっかけで作品になったものもあります。子どもの「かわいい!」と思う瞬間って、きっとどの親御さんも同じなんだな、と嬉しくなりました。
日常の何気ない、でも愛おしい瞬間をとらえた963hankoさんの作品。その背景には、ご自身の「好き」が詰まっています。
963hankoさん
影響を受けたイラストレーターさんはたくさんいます。100%オレンジさん、エリック・カールさん、tupera tuperaさん、升ノ内朝子さん…。あとはminneでも活躍されているハンコ作家のNico-Recipeさんや、cotori cotoriさんも大好きです。皆さん、ゆるくてかわいかったり、ちょっとユニークだったり。イベントでお会いすると、その方の人柄が作品にそのままあらわれているんですよね。
大切にしたい、お客様とのつながり
963hankoさん
「自分が、自信をもって “かわいい!” と思うものを世に出すこと」。そして、「お客様とのつながりを大切にすること」です。
minneでは、北は北海道、南は沖縄まで、全国各地から注文が入るといいます。
963hankoさん
本当なら直接お会いしてお礼をいいたいのですが、なかなかむずかしいので、発送の際には自分で制作したミニカードに、手書きで一言メッセージを添えるようにしています。以前、お届け先の住所に「いちょう並木」とあったので、「いちょうが綺麗に咲くところなんですか?」と書き添えたら、後日お客様からいちょう並木の写真と一緒にメッセージをいただいて。そんな風にコミュニケーションが生まれるのが、とても温かくて嬉しいんです。
ネットショップだけでなく、イベント出展も大切にしている963hankoさん。