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陶芸家 pottery neg.さん「好き」と「心地よさ」を形に

pottery neg.

石膏型は大事にしたいという気持ちがあります。また型を一から作る作業は中々たいへんなので…。分割の仕方を考えるのがむずかしくて、原型に粘土で壁を立てて、一面ずつ型を取っていくんです。

以前、焼き物制作に携わっていた頃はろくろを使った作業も経験されましたが、個人で制作するには手首への負担や、削りカス(削り取った粘土)の処理がたいへんだったそう。「たたら作り」と石膏型を用いる現在の方法は、粘土の無駄が出にくく、ご自身のペースで少量多品種の作品を制作するのに適していると話します。

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泥漿(でいしょう:泥状の粘土)を型に流し込む鋳込み(いこみ)という技法もありますが、管理がすごくたいへんで。今のやり方だと、使う分だけの粘土で制作できるので、無駄が出にくいのが嬉しいですね。粘土の切れ端も、やわらかいうちに練り直してまた使えますし。

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「くっついてください」と祈るような気持ちでパーツを接着し、すこし時間を置いてから型からそっと取り出す。その瞬間、可愛らしい猫の形が現れると、思わず「やったー!」という気持ちになると笑顔で語ってくださいました。

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猫への愛と遊び心が生み出す、ユニークな作品たち

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もう、とにかくかわいくて。何をしてもかわいいんです。変な仕草も全部好き(笑)。子どもの頃から猫が好きで、見ているだけで発想が膨らむんです。

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猫の何気ない仕草からインスピレーションを受けることも多いそう。

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猫が威嚇する時に見せる「やんのかステップ」って知っていますか?急に横っ飛びするようなポーズなんですけど、それがすごくかわいくて。お皿にこの形がデザインされていたらおもしろいかな、と思って作ったものもあります。あとは、猫がびよーんと伸びをする姿から、持ち手が長ーく伸びた猫のスプーンを思いついたり。

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ノビネコ蓮華スプーン

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この香炉は、活動を始めた初期からつくっていて思い入れがあります。実は、ハムスターハウスを作った時の型の上部分を再利用しているんです。ちょうどその頃、実家の猫も亡くしてしまって。その子のことを考えながら、猫の香炉を作れないかなと思いついたのが始まりです。

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[猫耳から香]ネコ香炉 シロ

ユニークなのは、猫の耳からお香の煙がゆらゆらと立ちのぼるデザイン。

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ドイツのお土産で、口から煙を吐く木の人形があるのを知って、それを猫でやりたかったんです。でも、作っていくうちに口より耳から煙が出る方がしっくりきたので、耳から出すことにしました。

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煙を出すための構造には苦心しましたね。単純に穴を開ければ煙が出るわけではなくて、空気を取り込む穴も必要なんです。足と手の間をくり抜いたり、粘土の厚みを調整したりして、ようやくうまく煙が出るようになりました。

猫と台座、そしてお香立てが「うまくはまって作品として完成している感じがする」と語るpottery neg.さん。その言葉からは、試行錯誤を重ねてたどり着いた形への愛情が伝わってきます。

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