今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
森とか、滝とか、山とかさ
今週のさそり座は、確かな強度と不可逆性をもった出来事がひそかに刻まれていくような星回り。
『くらき滝茅の輪の奥に落ちにけり』(田中裕明)という句のごとし。
「茅の輪」は六月末日の夏越の祓(なごしのはらえ)に使われる大きな草の輪で、人々はこれをくぐって身を清め、災厄を祓います。この輪は単なる儀式の道具ではなく、俗なる世界と清らかなる領域とのあいだに張られた結界であり、したがってこの「奥」にあるものは日常世界には存在しない別の次元に属する何かとして立ち現れるのです。
あなたもまた、表面的には穏やかに推移したとしても、その奥の水面下においては、深い精神の動きが起こっていくでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
どこを向いて言い返すのか問題
今週のいて座は、慣れだけで口にされる言葉をビジョンで打ち返していくような星回り。
「(東京は)五十人くらいでいいんじゃないですか」という、作家の深沢七郎の発言のごとし。
国連の出した報告書など見ると、2050年には世界人口は97億人へいたり、大増加していく見込みだそうですが、日本をはじめ少子高齢化に陥っている先進国などでは、今後人口の減少を経験する国がますます増えていくのだそうです。つまり、今後の人類のキーワードは、完全に「成長」「発展」から、「限界」「衰退」ないし「滅亡」「再構築」へと切り替わりつつあるのでしょう。
あなたもまた、深沢くらい頓智をきかせてこれからの未来を語っていきたいところです。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
最後の最後で自身を支えてくれるもの
今週のやぎ座は、「罪を意識しないまま飛んでいく人間」という存在を自身の中に垣間見ていくような星回り。
『人殺すわれかも知らず飛ぶ蛍』(前田普羅)という句のごとし。
大正2年(1913)、作者29歳の頃の作。自己の内奥に潜む破壊性と、それを十分に認識も把握もできないという強い不安、さらにそれが「蛍」という儚い存在と結びつくことで、現代にも通じるような戦慄が宿る一句です。
あなたもまた、知らず知らずのうちに自身が属する社会に渦巻く心情を個人的な心情とない交ぜにしていくようなところが出てきやすいでしょう。