必要なひとに、必要なものを届ける
70年以上の歴史を誇る、老舗の定番ブランドとして愛され続けるYKKファスナー。
日本のみならず、これだけ広く永く愛されているわけは、どこにあると思いますか?
薩摩さん: そのひとつは、我々のような「加工して販売する会社」をいくつか置いたことが、現在のシェアにつながった策のように感じますね。たくさんあった会社も、現在は数を減らして、弊社で担っている割合も大きくなっているのですが、全国、そして海外へと津々浦々でお求めいただく中で、お客様にご不便をおかけしないよう、そういった各会社で対応してきたことが良かったのかもしれません。
ファッションアイテムや生活雑貨を制作するうえで欠かせない素材ですから、幅広いものづくりの現場で、その場その場の幅広いニーズがありますよね。
薩摩さん: そうですね。ただ、これまでも本当にたくさんの方にご愛用いただいてまいりましたが、わたしたちの役割や立場も見直すタイミングが来ているのだと思っています。商材だけなく、しっかりサービスとして「必要としてくださる作り手に、本当に必要なものを届ける」ということをしなければいけない。
薩摩さん: これからは、発信して知ってもらうこと、選んでいただくこと、しっかりお届けすることに努めたいと考えています。
「溶けるファスナー」の提案
「洋服やバッグ以外のものづくりにも役立てれば」そう言って見せてくださった、このファスナー。
他のものより、ずいぶん軽いですね。
薩摩さん: そうなんです。これは、ちょっとおもしろいんですよ。実際に見ていただきたいので、この場でお湯につけてみますね。
お湯ですか?
あれ、テープの部分がふわふわ溶けてきました。
薩摩さん: そうなんです、これは「溶けるファスナー」なんですよ。洋服やお財布の開け閉め以外にもファスナーの需要があるようなので、こんな素材を制作してみました。これは、このまま「アクセサリーづくり」にぜひ活かしていただきたいんです。
これは、おもしろいですね。アイデア次第でピアスやキーホルダーなど、いろんな作品が完成しそうです。
薩摩さん: そう言っていただけるとうれしいです。通常、右と左が重なって一本のファスナーになりますが、「エクセラ®︎」というチェーンのおもしろいところで、これは、たとえば右の一本だけを、くるっとループさせて引き手つき金具をつけることもできますし、いろんな加工をたのしんでいただけると思います。
「溶けるファスナー」を使った作品の登場がたのしみですね。
薩摩さん: はい。我々が考えもしなかったようなアイデアが出てくることを、たのしみにしてるんですよ。
多くの作り手に「選ぶ自由」を
安定したシェアや現状のニーズに止まらず、ショールームの開設や「溶けるファスナー」の提案など、新たな挑戦を続ける想いをおうかがいしました。
薩摩さん: わたしは、「minne」さんのサービスを見て、とても共感していいなあと思ったんですよ。日本各地の作り手の方に、いろんな可能性を提供していらっしゃるじゃないですか。我々も、場所に関係なく求めてくださる方にお届けして、ファスナーで各地のものづくりのお役に立ちたいんです。