「ダウンドッグ」と呼ばれるヨガのレッスンで良く行われるポーズ。ヨガ初心者にとっては、手も痛いし足も痛いし、かなりつらいポーズではないでしょうか。初心者と上級者、いったいどんなポイントが違うのでしょうか?
伊藤香奈
様々な名前で呼ばれる「ダウンドッグ」とは?
通称ダウンドッグと呼ばれるポーズは、レッスン中でも色々な名前で呼ばれています。サンスクリット語では「アドームカシュヴァーナーサナ」。英語では「ダウンワード・フェイシング・ドッグ(Downward-Facing Dog)」。日本語では「下向きの(または下を向いた)犬のポーズ」となります。時にはダウンドッグ(down dog)やドッグポーズdog pose)などと呼ばれることもあります。
やり方はこちら
ダウンドッグはツラいポーズ? 休憩ポーズ?
ヨガを始めたばかりの頃は、ダウンドッグはかなりつらいポーズでしょう。しかし、上級者が参加するレッスンでは、ダウンドッグは休憩のポーズであったり呼吸を整えるポーズです。初心者がつらいと思う点、上級者はどうしてつらくないのでしょうか?
ツラいポイント① 手首が痛い
1つめは、手のひら全体で体重を支えられず、手首という1点に体重がかかってしまっているため、手首がつらくなってしまうということ。上級者は、手のひらを大きくひろげて、手のひら全体でマットをつかむようにとらえているため、痛みも起こらずポーズも安定しています。
2つめは、手に体重をかけすぎてしまっているということ。ダウンドッグの場合、手に体重をかけるのではなく、「手でマット押して体を上に引き上げる」意識を持ちます。腕たせ伏せで肘を曲げた状態から体を持ち上げるのと同じように、体を上に持ち上げる意識を持つことで、手首への力のかけ方(かかり方)が変わってくるでしょう。さらに上級者は、下腹部を引き込んでバンダを使う意識を持っているので、体の引き上げが上手です。
ツラいポイント② 脚裏が痛い
上記の①で手のひら全体を使い、体を引き上げられるようになると、体重が足の方にかけられるようになります。そうするとぶつかるのが「脚裏が痛い」という壁。
脚の裏側の柔軟性も必要なダウンドッグでは、ふくらはぎだけでなく膝の裏、腿の裏、さらにお尻まで、体の裏側全体の柔軟性も関わってくるため、なれないうちはポーズをとるのが辛く感じるでしょう。さらに意外に男性に多いのが、足首の柔軟性がないためポーズが取りづらいことも。足首を回す練習を丁寧に行うだけでも、ダウンドッグがとりやすくなります。上級者は、足首から足裏全体、臀部まで全体の筋肉の動きを意識して動かしており、さらに脚の外側の筋肉ではなく、内側の中心軸を意識してポーズをとっています。
ツラいポイント③ 肩回りがつまる
手のひらを使って上体を引き上げ、さらに下半身の使い方と柔軟性が上がってくると、かなりポーズが安定してきますが、さらに力を抜いてポーズを安定させることができます。そのポイントは肩回り。初心者だけでなく上級者もやってしまいがちなのは、「肩と耳の距離が保てない」ことです。特にダウンドッグは下を向いているため、肩は耳の方向に落ちてしまうのが自然。そうすると立っている時に首をすくめているのと同じ状態になります。これを整えるにも、①で手のひらを上手に使い体を引き上げる意識や、②の足全体を安定して使えることが重要になります。さらに、肩回りの筋肉「僧帽筋」を下げる意識をもってポーズを取ってみましょう。
ライター/伊藤香奈
2012年、全米ヨガアライアンス200時間を取得。新規ヨガイベントの立ち上げや新人講師発掘オーディションのプロデュース責任者等を歴任。800人以上のインストラクターと出会い、現在ヨガ雑誌やイベントの第一線で活躍するインストラクターを数多く育成、輩出する。2017年に、セミナー講師、ヨガインストラクター、ヨガワークライフコンサルタント、ヨガインストラクター向けキャリアアドバイスセミナー講師として独立。