4Kテレビの良し悪しは画質論になりがちですが、今回は「ネット動画」。これまでは、「スマート」とは名ばかりのテレビのネット機能でしたが、今はなかなか進化してるんです。今回は、そんな各社の「ネット動画機能」にスポットあて、リビングでYouTubeやAmazonプライムなどサブスクのネット動画を快適に見られるブランドを探ります。
西尾 崇彦/Test by 家電批評編集部
主要6大メーカーを辛口比較!パナソニックとソニーがリード
最近はテレビで地上波だけでなく、ネットフリックスやアマゾンのプライム・ビデオなどの動画配信サービスを手軽に試聴できるようになりました。
そんなサブスク時代だからこそ、今回はテレビのスマート機能(ネット機能)だけに注目し、大手メーカーのテレビを比較することにしました。
これまで家電批評編集部では、何度も4Kテレビの特集を行い画質や音質を評価していますが、今回は違います。評価するのはネット機能のみです。
「うちにはAppleTVやFireTVがあるから、別にイイや」と思われる方もいるかも知れません。
確かに家電批評本誌や本サイトでは、スマート機能搭載の4KテレビよりもAppleTVやFireTVなど、別売のセットトップボックス推しでした。
もちろん、最高の環境と快適性を望むなら、4K対応のApple TVやFire Stick TVがベストバイです。
ただ、最近の4Kテレビは対応コンテンツの拡大や拡張性に力を入れたり、モタモタしていた動作がずいぶん速くなるなど、機能の向上がめざましいんです。
そこで、今回は専門家の折原一也氏に協力いただきパナソニック、ソニー、東芝、LG、三菱、シャープ、以上、主要6メーカーの4テレビを徹底検証し、各メーカーのネット動画をはじめとするスマート機能を評価していこうと思います。
結論からいうと、家電批評と本サイトでは、今回、4Kテレビの中では、パナソニックとソニーのネット動画機能をベストに決定しました。
その理由を含め、今回の検証の結果を順番にレポートしていきたいと思います。
折原一也氏に協力いただき全6メーカーの動画&スマート機能を比較検証しました。
最近の4Kテレビは、主要なネット動画配信サービスをほとんど見ることが可能になっています。
【選ぶポイント】Amazonプライム・ビデオ対応、起動の早さ、横断検索が買って後悔しない3つのポイント!
まず最初に、スマート機能を見定めるポイントと、そこから導いたテストチェックポイントを紹介していきたいと思います。
今、スマート機能に注目して4Kテレビを選ぶ場合、①アプリ(対応チャンネル)、②サクサク度、③検索性、④音声検索、⑤操作性、⑥レコメンドの6つのポイントに着目することをおすすめします。具体的にAmazonプライム・ビデオ対応、アプリの起動速度、動画の横断検索が重要になります。
特にAmazonのプライム・ビデオは、他の動画配信サービスよりもコストパフォーマンスに優れているので、テレビで気軽に映画や動画を楽しみたい人には重視したい点となります。
アプリの起動速度は、ブランドごと差があり、ここがモッサリしていると日常的な使い勝手に差がでます。動画の横断検索は、その対象範囲が各ブランドごとに異なります。より多くの放送や動画サービスに対して検索できるブランドの方が、利便性が高いと言えます。
加えて、①~⑥の各ポイントの概要をご紹介していきたいと思います。
チェック①アプリの数と拡張性:利用できるコンテンツ数はスマートTV最大のキモです!
スマートTV機能で利用できるアプリの種類はメーカーによって異なります。自分がいつも利用している動画配信サービスが、スマートTVに対応していなければ、本当にもったいないですよね。
だからこそ、多彩なアプリに対応していることが大切です。また、「アプリストア」から任意のアプリを追加できる拡張性の有無もポイントになります。
アンドロイドがベースになっているソニーなどは、スマホのように簡単にアプリをインストールできます。
チェック②アプリの起動時間:使いたいコンテンツまでサクッとたどり着けるか?
スマートTV機能でアプリを使うとき、立ち上がりのスピードが遅いと大きなストレス。そこで、利用頻度が高いと思われる「Netflix」「Amazonプライム・ビデオ」「YouTube」の起動速度を検証しました。
基本はホーム画面からアプリを選択して立ち上がるまでの時間を計測。「Netflix」はリモコンボタンからの起動も試しています。
なお、計測は以下の通り行いました。
①電源OFFから専用ボタンで起動(計3回)テレビの電源を消した状態でリモコンのネットコンテンツ専用ボタンを押した瞬間から、コンテンツが完全に立ち上がるまでの時間を計測
②ホーム画面のアイコンから起動(計3回)リモコンに専用ボタンがないテレビのために、ホーム画面のアイコンをクリックしてから立ち上がるまでの時間も全モデルについて別途計測している
計測後にはアプリを終了: 基本的に計測後はアプリを終了させてから①なら電源オフ、②はホーム画面に移動して次の計測を行っています。
チェック③検索性:検索しやすいインターフェースと検索対象のコンテンツ数も大切です
対応アプリで視聴できる動画や録画番組など、スマートTV機能搭載の4Kテレビは利用できるコンテンツが豊富。だからこそ、検索しやすく、多彩なコンテンツを横断検索してくれると便利です。
とくに横断検索の対応コンテンツが「Netflix」や「Amazonプライム・ビデオ」などの主要サービスに対応しているかがキモになります。
チェック④音声検索:言いにくい番組名やタイトルを性格に認識して幅広く探せるか?
リモコンのマイク機能を使い、ボタンを押さずに声で検索できるのもスマート機能の醍醐味。しかし、メーカーによって言語認識の精度やスピードは全然違うんです。
そこで、検証では「にゃ」や「にょ」などの拗音を混ぜたり、わざと早口でしゃべってたとき、言語を正確に認識できるかどうかをチェックしました。一部非対応の機種があります。
チェック⑤操作性:カーソルや画面移動などの操作がサクサクと快適に動いているか?
コンテンツを快適に利用するために最も大切なのが、サクサクとした操作感です。リモコンをプッシュしたとき、カーソル移動やコマンドセレクトがスムーズかつ狙い通りに動くかどうか。
また、画面移動するときにタイムラグ少ないかなど、実際に専門家が試用して、ストレスを感じない動作を実現できるかを確認しています。
チェック⑥レコメンド:好きな動画やよく観ている番組を的確にセレクトして提示できるか?
年齢や性別、家族形態などを入力したり、視聴状況をテレビが把握することで、ユーザー好みのネット動画や録画番組をセレクトしてくれるレコメンド機能もスマートTVのポイント。
検証では「オススメ映画は?」などで質問して、ピックアップされたコンテンツの関連性や整合性、横断検索の幅広さなどをチェックしています。
【1位】ソツなしとプロも絶賛しきりパナソニックは万人向けを極めた1台
大手6メーカーのスマートテレビ比較で、見事ベストバイを獲得したのは、使いやすさに定評のあるパナソニックです。
Firefox OSを搭載し、スマートTVでは独自路線を歩んでいますが、実際にスマートTV機能を使い込むつもりで実機で対応映像配信サービスを数えると、Amazonプライム・ビデオもカバーするだけでなく、国内全15以上の動画配信に対応する超優秀モデルと判明しました!
特に発見だったのが自社専用のアプリ・マーケットの充実でビデオパス、ニコニコ動画、パラビといった対応機器が少ない映像配信の中堅所の対応が手厚く、現行モデルではパナソニックが唯一の対応テレビとなっているサービスも多数あるほど。
導入したアプリの映像配信の起動レスポンスもNetflixは2回目以降高速化し、1秒台でアクセスできます。
日本メーカーの機能として「アレコレチャンネル」でNetflixやYouTubeと録画番組を横断して番組を探す工夫、DIGAの録画番組と連携する動作も。上下左右の操作の操作もシンプルで迷わず使えました。
自社でプラットフォームを運営し、ユーザーが求めるネットサービスや機能をソツなく作り込んでいく真摯な姿勢はさすがのにパナソニックです。文句なしに実用性ナンバーワンといえます。
パナソニック
VIERA TH-55FX800
実勢価格:13万2800円
●サイズ・質量:W1234×H775×D254mm・約33㎏●チューナー/地上デジタル×3、BS・110度CSデジタル×3
スマホのアプリを選ぶ感覚でサクサクと分かりやすい操作性。サクサク感や細かい機能は、セットトップボックスの方が優れている点も少なくありませんが、セットアップを含めた万人向けの使いやすさという意味で、パナソニックのネット動画&スマート機能はとても優れていました。