塩焼き、干物、刺身、フライ、煮つけ、天ぷら、なめろう、南蛮漬け、辛党にはたまらないくさやなどなど、全部アジ料理です。アジの栄養の特長や意外なアジの歴史、アジの簡単レシピなど、アジに関する豆知識を管理栄養士が解説します。
アジの歴史を紐解けば
アジは鴨の味?!
旅館の和朝食といえばアジの干物が定番ですが、アジは江戸時代にすでに庶民の暮らしに根付いていました。
アジのことを「アジは味なり。鴨のようである。アジも鴨も味の美なるものなれば、そのようにたとえられる」と説明している書物もあるくらいです。
漁師さんの料理がルーツ
今ではだれでもが知っている「アジのたたき」ですが、「アジのたたき」が広く知られるようになったのは昭和40年代になってからだそうです。
伊豆の漁師が獲りたてのアジを手で割き、味噌と混ぜて食べていたものをからヒントを得て、昭和40年頃東京の板前さんが、包丁でたたいてお店で出すようになって全国に広まるようになったとか。
・参考:農林水産省(http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/cuisine/cuisine2_3.html)
アジのたたきのバリエーション
・ネギやしょうがなどを混ぜて包丁でたたいたものが「アジのたたき」
・薬味野菜に味噌を加えてたたいたものが千葉の郷土料理の「なめろう」
・「なめろう」を焼いたものが「さんが焼き」
アジのたたきのアレンジ、バリエーションもいろいろ広がっています。
アジの種類
実は種類の多いアジ
一般的にアジといえば「マアジ」を指します。「マアジ」の中でも体の色が黄色がかっているものが「キアジ」、黒ぽいものが「クロアジ」です。「クロアジ」のほうが漁獲量が多いそうですが、「キアジ」の方が脂がのっています。
また、アジの中でも最も脂がのっている種類が、体に縞模様のある「シマアジ」です。北欧から輸入されている「ニシマアジ」と呼ばれるアジは干物に加工されています。
伊豆諸島名物の「くさや」に使われるアジは「ムロアジ」「クサヤムロ」という種類のアジです。
強烈なにおいのくさやの理由
お酒のつまみとして人気の「くさや」は、魚を開いて、くさや汁という汁に漬け込んで天日で乾燥させたものです。もともとは塩水だったくさや汁は、長い間同じ汁を使い続けていくうち発酵が進み、あの強烈なにおいになったのだとか。
現在、伊豆諸島で使われているくさや汁は100年以上前から使い続けているそうで、中には400年間も使い続けているくさや汁もあるそうです。
アジの栄養
EPA、DHA
魚の脂にはEPAやDHAが含まれています。EPAには善玉(HDL)コレステロールを増やし、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を減らす働きもあり、生活習慣病の予防が期待できます。
DHAは脳の栄養素とも呼ばれていて、神経細胞の発育を活性化させる働きがあるともいわれています。
ビタミンD
骨の材料となる栄養素は主にカルシウムですが、カルシウムが骨に沈着することを助けるためにビタミンDが必要となります。ビタミンDは紫外線に当たると皮膚からも作られるのですが、UVケアをしている人は不足が心配です。
ビタミンDが多く含まれる食品は魚全般です。美白・美肌のため紫外線対策をされている方には、特にしっかりととっていただきたい栄養素です。
カルシウム
小型の小アジや豆アジを丸ごと揚げれば骨まで食べることができます。また、アジの特徴でもある、硬いとげとげした「うろこ(ぜいご)」は素揚げにして「骨せんべい」にするとカルシウムが補給できます。