親、世間、彼、友人……「自分以外の誰か」を主語にして、恋愛や結婚をしてしまう女性がいます。そんな彼女たちの特徴を、恋愛コラムニストのぱぷりこさんが解体&分析する連載です。
ぱぷりこ(恋愛コラムニスト)
「雰囲気が変わった? うん、実はモテテク本を読んで全部モテ服に買い換えたんだー」
「このLINE、すぐ返事しないほうがいいよね? モテテク本にそう書いてあったし」
「モテテクをいっぱい試してるのに、ぜんぜん彼氏ができないのなんでー?」
「こっちのモテテク記事には愛想がいい子がモテるって書いてあるのに、こっちにはミステリアスさが大事って書いてあって、どっちがいいの!?」
このような発言をしている人がいたら、「モテテクとハウツーを片っ端から試す女」かもしれません。
「モテテクとハウツーを片っ端から試す女」の特徴
モテテクとハウツーを片っ端から試す女には、下記の特徴があります。
・モテテク&恋愛ハウツーの本、記事が大好きで毎日読んでいる
・いつも恋愛のことを考えている、恋愛話が大好物
・夢のために努力できる情熱がある
・オタク気質だったり、勉強や仕事ができたりする
・失敗したくないから知識をちゃんと得たいと思っている
・外見はモテテク通りにしている
・好きな人ができたら、相手の行動やLINEをハウツーで読み解こうとする
・ハウツー通りに行動してもうまくいかない場合、自分の状態を正しく言い当てるハウツーを探す
・女友だちに相談しまくる相談魔か、あるいは逆にまったく相談できないタイプのどちらか
・恋愛話や映画、マンガが大好きで、ヒロインにすぐ感情移入する
・占いやパワースポット巡りが大好き
・モテテク通りにしてもうまくいかないと、占いに真実を尋ねに行く
モテテクとハウツーを片っ端から試す女は、「恋愛がうまくいくための努力を惜しまず、いつも全力で恋愛を成就させたい女性」です。
10代のころから恋愛話が大好きで、恋愛映画や恋愛マンガもたくさん読み込み、すぐヒロインに自己投影します。周囲の女友だちとの恋愛話ももちろん大好きで、恋人ができた友人たちの話を聞いて「自分も彼氏がほしい!」と希望をふくらませて育ってきています。
彼女たちは努力家かつ勉強家で、夢を叶える努力を惜しみません。熱心に好きなものを追いかける情熱、不断の努力を続ける行動力があるので、オタク気質だったり、勉強や仕事ができたりする女性もそれなりに多いです。
そのため、恋愛についても夢を叶えるために熱烈な努力をします。恋人がいる女友だちのマネをしてみたり、恋愛相談をした相手からのアドバイスを片っ端から試したり、モテテクや恋愛ハウツーの記事や本を片っ端から読みこんでいきます。
かなりの勉強家&オタク気質だと、手に入れられるモテテク本をほぼすべて読んだり、ハウツー記事や人生相談系のサイトを何百本も読みこんだりします。
モテテクや恋愛ハウツーは「自分の行動や外見を変える系」と「相手の行動を読解する・変える系」があります。彼女たちは恋愛初期段階では「自分の行動や外見を変える系」を読んで、外見を変え、持ち物を変え、話し方を変えます。
好きな人や恋人ができたあとは、「自分の行動や外見を変える系」と「相手の行動を読解する・変える系」の両方を使い、判断に迷ったり、失敗したりしたら、まず「知識」を求めて状況を改善しようとします。
「モテテクとハウツーを片っ端から試す女」が望む男性像
モテテクとハウツーを片っ端から試す女は、彼女たちの行動形式が特徴的なため、ほかの「振り回される女たち」のように「好みの男性像」がくっきりはっきり決まっているわけではありません。
しかし、傾向として、恋愛大好き系女性は「王道モテ男」を、勉強好きやオタク気質の女性は「知識があって好奇心を刺激してくれる男性」を好みがちです。
何より彼女たちは「モテテクとハウツー通りに動いてくれる男性」を求めています。そうでなければ、自分の恋愛が成就せず、不安と混乱と失敗に叩き落とされるからです。
「モテテクとハウツーを片っ端から試す女」の婚活はどうなる?
モテテクとハウツーを片っ端から試す女の婚活は、だいたい迷走します。迷走する要因は「モテテクやハウツーにマッチするかどうかのギャンブル」になるからです。
そもそも、モテテクやハウツーは、「統計的に見た場合の多数派の傾向」と「個人の経験や思い込みによる主観」の複合体です。人によって言っていることが真逆であることも少なくありません。
ある記事には「男性は自己主張しない控えめな女性が好き」と書いてあり、別の記事には「男性はわがままな女子が大好き」と書いてあります。どっちやねんという感じですが、実際は「自己主張しない控えめな女性が好きな男性も、わがままな女子が大好きな男性も、両方いる」が正しいです。
ただ、両方とも主語が「男性」としか書かれていないため、モテテク読者たちは「モテテクが語る男性=自分が好きな男性、世の中すべての男性」「モテテク・イズ・宇宙の真理」と思いこんでしまいがち。
ここから悲劇が生まれます。多くのモテテクやハウツーを読めば読むほど、上記の矛盾に気づくため、彼女たちは「どっちなの!?」と混乱します。
さらなる悲劇は「ミスマッチの悲劇」です。
まずは「自分本体とモテテクのミスマッチ」。たとえば「自分の行動や外見を変える系」が自分の趣味や外見に合わない場合、「モテテク通りにゆるふわ女子アナの格好をしたけど似合わない女性」「モテテク通りにゆるふわ女子アナの格好をした自分がぜんぜん好きになれない女性」「モテテク通りにゆるふわ女子アナの格好をしたけれどまったく効果がない女性」が爆誕します。
これらの女性たちは本人に魅力がないのではなく、単に「モテテクにマッチしない」だけなのですが、彼女たちは「モテテクが正しい」と信じているため、「モテテクをやってもダメな私は女として失格なんだ……」「モテテクが似合わない私はブスなんだ……」と自己肯定感をバッキバキに下げてしまいがち。
次は「自分の好みとモテテクのミスマッチ」。モテテク通りにゆるふわ女子アナの格好をしたら、オラオラ系の男子がいっぱい寄ってきたけれど、自分の好みではないためぜんぜん好きになれずに恋愛が進まない……といった悲劇が起きることがあります。
そして「好きな男性とモテテクのミスマッチ」。モテテク通りに「自己主張しない女性」として行動したら「つまらない」と振られたり、「ドキドキさせるためにボディタッチ」したら遊び相手とみなされてホテルに連れこまれたりなど、「モテテクやハウツー通りに行動したのにぜんぜん予想とちがう!」なーんてことがしょっちゅう起きます。
まとめると、モテテクとハウツーを片っ端から試しても「モテテクが自分にマッチするかは運による、モテテクが自分の好みにマッチするかは運による、モテテクが好きな男性にマッチするかは運による」、つまりは「モテテクを使ってもうまくいくかどうかは運による」のです。
しかし、モテテクとハウツーを片っ端から試す女にとって、モテテクやハウツーは鬼畜ギャンブルではなく、「信じてその通りに行動したら成功する指針」です。
だから、当たれば盲信してさらにのめりこむし、当たらなければ混乱して「どうして当たらないの!? 当たるモテテクとハウツーを探さないと!」と信じるべき指針を新しく探そうとします。
それでもモテテクやハウツーでは成功できないとわかると、「信じて進むべき指針」を求めて、占いやパワースポット、スピリチュアル系にどっぷりはまる人もいます。