燃え尽き症候群とは、高い意欲を持っていた人が、あるとき燃え尽きたように無気力状態となってしまうこと。このように燃え尽き(=バーンアウト)を起こしやすい人にはいくつかの共通点があります。今回は、心理カウンセラーの高見綾さんが特徴と対処法を解説します。
燃え尽き症候群という言葉を聞いたことはありますか?
ガス欠を起こしたように突然意欲がなくなり、疲れ果ててしまう状態のことをいいますが、こうした心の燃え尽きは、さまざまな場面で起こります。
どういった人が燃え尽き症候群に陥りやすいのでしょうか。また、燃え尽きを感じたときにすべき対処法についても紹介します。
燃え尽き症候群とは?
燃え尽き症候群とは、高い意欲を持って取り組んでいた人が、あるとき燃え尽きたように無気力状態になってしまうこと(=バーンアウト)をいいます。
心が疲れ切って投げやりな言動をするようになったり、仕事でミスが増えたり、朝起きられなくなったりするなどがその特徴。
燃え尽き症候群は、私たちを動かしている意欲や情熱、愛といった心のガソリンが、何かをきっかけに失われていくことで起きるもの。
一般的には、仕事での燃え尽きが例として挙げられますが、恋愛などのさまざまな状況で陥る可能性があります。
状況1:仕事でのバーンアウト例
上司から「期待しているよ」と言われたことがうれしくて、何とか期待に応えたいと一生懸命取り組んでいたAさん。すると、幸いにも成果が出て評価されるようになり、徐々に担当業務が増えて残業をしないと仕事が終わらないようになっていきました。
同じ立場の同僚は「仕事ができる人にばかり業務が集中している」とボヤいており、確かにそう思うものの、とりあえずやるしかない状況……。
そして、ある朝突然バーンアウトは起こりました。
ベッドから出ようとしたら思うように体が動かない。何とか職場に向かったけれど、ボーっとして気力が湧いてこない。お昼休みはできるだけ一人でいたいと思ってしまう。やる気が全然起きない上に、ミスも増えるし、どうしたらいいか分からなくなってきた……。
このように、限界に達した瞬間、人は簡単にバーンアウトを迎えてしまいます。
状況2:恋愛でのバーンアウト例
彼と別れて以来、放心状態で何もする気になれなくなってしまったBさん。付き合っていたときは、彼にいろいろ振り回されていたといいます。
デートする日も彼の都合に合わせていたし、何かと尽くしてきた日々。こんなに頑張ったのに関係が終わってしまって、心にぽっかり穴が空いたような感覚になっていました。
仕事のやる気が出ないし、あらゆることに意味を見いだせなくなってきている。生活もだらしなくなり、朝起きても髪はそのまま、顔も洗わない。おしゃれする意欲も湧かない。
「大好きだったのにうまくいかないなんて」「この先好きになれる人なんか出会えるわけがない」などと、感情は負のサイクルに……。
Bさんのように、恋愛での充実を失った瞬間、無気力になってしまう人もいるのです。
燃え尽き症候群に陥りやすい人の共通点
では、こうした燃え尽き症候群に陥りやすい人は、どのような共通点があるのでしょうか。
(1)頑張り屋
真面目で、何事にも一生懸命に取り組む人は、自分にできる範囲を超えて頑張ってしまうことがあります。
「うまくいかないのは努力が足りないせいだ」などと、自身を責める癖があるのも特徴。余計に自分を追い込んでしまい、最終的に燃え尽きを迎えてしまいます。
(2)感情に蓋をしがち
「~しなければいけない」とか「~するしかない」と考える人は、無意識のうちに自分の感情に蓋をしています。すると感覚や感情が麻痺してきて、何も感じられないようになります。
燃え尽きる前の心身の異変にも気付かず、気づいたらバーンアウトしているようなタイプです。