毎日コロナウイルスのニュースで持ちきりです。テレビやインターネット、SNSとあらゆるところで様々なニュースが取り上げられ、不安になっている方も多いのではないでしょうか。また、「マスク不足」「トイレットペーバー不足」など、買い溜めや品不足のニュースも話題になっています。これは日本だけの話ではなく、世界中で同じような現象が起きています。本日は、不安による買い溜めをテーマにしていきたいと思います。
なぜ私たちは買いだめしてしまうのか
なぜ、私たちは不安なとき、買いだめしてしてしまうのでしょうか。家にあるもので十分だと思っても、買えなくて困っている人がいると分かっていても、ついつい買いだめをしてしまいます。
感情と行動の関係
私たちの「感情」は「行動」に大きな影響を与えます。
例えば、緊張していると、貧乏ゆすりをしたり、顔や髪を触ってしまいます。怒りを感じると大きな声を出したり、嬉しいと飛び上がったりと、「感情」と「行動」は強く結びつきます。
そして、自分の感情に気づいていない時ほど、行動に影響が出やすくなります。「今、自分は不安を感じているんだな」「自分は緊張しているのかもしれない」と客観的に見れるようになると、感情を感じつつも、そのあとの行動を意識的に選べるようになります。
買いだめの心理とは
まずは、不安をコントロールするためです。意識的にしろ、無意識的にしろ、不安な気持ちを買い物でコントロールしようとしているのかもしれません。特に、もともと買い物がストレス解消法だという方は、マスクやトイレットペーパーなど日用品を買うことでストレス時の不安感に対処しやすくなります。
そして、物を所有することが安心感につながります。「自分のもの」という所有感も、目に見える形で存在するという事実も安心につながりやすくなります。見えない不安を感じていると、より一層目に見える物を求めやすくなるのかもしれません。
買いだめをしても不安は減らない
しかし、いくら買いだめをしても不安はなかなか無くなりません。一時的なストレスなら物を買うことで安心できても、コロナウイルスの問題は長期戦です。新たなニュースが入ってくるたびに不安な気持ちが刺激されます。コロナウイルスがいつ終息を迎えるかは、誰にも分かりません。予想はできても、絶対ではありません。つまり、状況が見えない分、不安は続きやすくなります。「コロナはいつ終わるのだろう・・・」「自分がコロナウイルスに感染してしまったらどうしよう・・・」未来の不安は、考えだすときりがないです。
「不安」など、感情は必要だから人間に備わったものです。不安によって私たちは何か準備をしたり、対処したりします。ネガティブに感じる感情も、私たちに必要なものです。だから感情をなくすことはできません。いくら買いだめをしても、不安はなくならないのです。
例えば、マスクを買いだめして、一時的に不安感が緩和しても、すぐに不安になる。次はトイレットペーパーを買いだめし、ふたたび不安になる・・・と繰り返しになってしまいます。
もし、自分は「不安感」が強いから買いだめしてしまうのだと気付いた方は、不安に対する別の対処法を試してみましょう。
不安への3つの対処法
1.気づく
自分がどのような感情を持っているのか、しっかりと気づくことが大切です。よく分からないモヤモヤのままだと、感情に圧倒されてしまったり、振り回されてしまったり、混乱しやすくなります。どのような感情がどの程度の強さ感じているのか、注意して観察しましょう。「不安60%」など、パーセンテージをつけて数値化することもおすすめです。
2.仕分ける
自分が感じている不安はどのようなものでしょうか?解決できる不安と解決できない不安に仕分けをしてみましょう。解決できる不安は、情報不足や準備不足から生じる不安です。例えば、「コロナにかかるとどんな症状になるのか?」「どんな予防策が有効か?」などです。解決できる不安は「未知を既知にする」「準備をすること」で小さくなります。
一方、解決できない不安は、「未来のこと」「他人のこと」など、答えが分からないものに対する不安です。例えば、「私はコロナにかかってしまうのか?」「いつまで続くのか?」などです。これらは解決できないため、うまく付き合っていくしかない不安になります。
3.外に出す
解決できない不安は、頭の「外に出す」ことがポイントになります。頭の中でぐるぐると考えていると、不安はどんどん大きくなります。信頼できる人に話す、紙に書き出すなど、外に出すことで不安を小さくしていきましょう。
ライター/石上友梨
臨床心理士/公認心理師 大学・大学院と心理学を学び、警視庁に入庁。職員のメンタルヘルス管理や、心理カウンセリング、スポーツ選手へのメンタルトレーニングなどを経験。ヨガや瞑想を本場で学ぶためインド・ネパールへ。全米ヨガアライアンス200取得。現在は認知行動療法をベースとした心理カウンセリング、セミナー講師、ライター、ヨガインストラクターなど、活動の幅を広げている。また、発達障害を支援する活動にも力を入れている。https://cbt-yoga.com