今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
身を軽くする
今週のさそり座は、これまでいた場所からそっと離れていくような星回り。
「月の人のひとりとならむ車椅子」(角川源義)という句は、作者最晩年の句。おそらく病室の窓から秋の月を眺めてこの句を詠んだとき、作者はすでにみずからの死を意識していたのだと思いますが、ここには恐れや狂気のようなものは感じられません。
その、そっと消えてしまいそうな存在感こそが、残される側の「眼」を逸らせたのでしょう。月の世界の人となろうとする無邪気さと、「車椅子」という境涯の結びつきが切ない一句。淡々としみてくるような月光は、作者を車椅子から解放し、軽やかにその身をのぼらせていったのだと思います。
今週のあなたもまた、そっとどこか違う世界へと誘いにのっていくような、一つのトランスフォーメーションを迎えていくことになるはず。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
始まりとしての感動
今週のいて座は、みずからを圧倒するような相手にスッと惹かれていくような星回り。
芸術作品は感覚的に作られるもので、その場その場での感性によってしか説明できないものと誤解されがち。しかし芸術を理解するには、その芸術が生み出された時代や背景をきちんと理解していかなければなりません。そしてその意味で、芸術にいちばん似ているのは、人間でしょう。
美術史の良質な入門書である若桑みどりの『イメージを読む』では、「人間を一目見ただけでその威厳や美しさに戦慄するのはよくあることです」と前置きした上で、「でもわれわれが戦慄したのは、その人間の目の光や、身振りや、いったことばやしたことのせいなのです。人間は外観であると同時に複雑な意味の発信体なのです。」と述べられています。
確かに、美術品を愛でるコレクターが美術品が作られた時代や背景をうっとりと語るように、愛とは理解であり、理解したいと願うことは愛の始まりなのだと思います。あなたもまた、どこかでそうした始まりの予感に突き動かされていくことになるかもしれません。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
月下の石二つ
今週のやぎ座は、近いようで遠く、遠いようで近い。そんな距離感を味わっていくような星回り。
かつて寺山修司は『時代の射手』で、「人は恋愛を夢みるが、友情は夢みることはない。夢を見るのは肉体であるから。」と書きましたが、肉体よりも精神がまさりがちなやぎ座にとって、夢をみるのはやはり肉体ではなく精神の方でしょう。
そう、やぎ座にとって本来より自然と求めていきやすい関係というのは男女の縛りを伴ない、従ってその本質上決して長続きすることのない恋愛というよりは、男女という次元を超え、純粋に人と人として信用し合えるような友情に近いのではないでしょうか。例えば、『紅の豚』のポルコとジーナはちょうどそんな関係の一例と言えるかもしれません。
もしそっと身の周りを見渡して、そんな風に付き合っていける相手と巡りあえているのなら、その幸運にひっそり静かに浸っていくとみること。逆にまだそういう相手がいないのならば、まずそういう関係をできるだけリアルに自分の生活の中で思い描いてみるといいでしょう。