春の訪れを感じる3月の祝日「春分の日」はどうして日にちが決まっていないのか、どんな歴史や意味があるのかをご存知でしょうか?
カレンダーを見ると3月20日のときもあれば3月21日のときもあり、毎年祝日がいつになるのか気になりますよね。
そこでこの記事では春分の日は誰がどのように決めているのか、関係深いお彼岸についてご紹介します。
春分の日の食べ物も解説しているので、意味や歴史を理解しながら季節の移り変わりを感じてみてはいかがでしょう。
春分の日とは?
「春分の日」とは1948年に祝日法によって制定された国民の祝日のひとつです。昼と夜の長さが同じ日で「自然をたたえ、生物をいつくしむ」ための日とされています。
春分の日は古代中国から伝わった太陽の運行を元に季節の移り変わりを15日おきに表す暦「二十四節気」の春の節気である”春分”にあたります。春の節気は立春(2月4日頃)から始まり4番目が春分(3月20日頃)です。日本では二十四節気の立春を暦上、春の始まりとしていますがまだまだ冬の寒さは残ります。
春分の日は長かった夜の時間がだんだんと短くなり、昼の時間とほぼ同じになり暖かく感じる日も多く本格的な春の到来を肌で感じられる頃です。そのためからか、ヨーロッパなどでは春分の日を春の始まりとするところもあります。
どうして春分の日は定められていない?
春分の日は定められていません。祝日法による国民の祝日を決める際も春分の日は「春分日」と表されており、その年の春分日を祝日としています。これは、もうひとつの昼と夜の時間が同じになる「秋分の日」の祝日も同様です。秋分の日もその年の「秋分日」が祝日となります。
春分の日は3月20日~21日になることがほとんどですが、どのようにして日にちを決めているのでしょう。
天文学を使って決めている
春分の日や秋分の日は天文学を用いて決められています。国民の祝日を定めるときに表されている「春分日」や「秋分日」も天文学用語です。
天文学の話は少し難しくなるのですが簡単に言うと、春分日と秋分日は太陽が春分点と秋分点を通る瞬間を示します。春分点と秋分点とは太陽と地球の位置や動きに大きく関係し、太陽の通り道「黄道」と地球の赤道を延長した「天の赤道」がちょうど交差する点のことを指します。
日にちが定められていないのは1年が365日ではないから
春分日や秋分日の基準とされる点は定められていますが、太陽は毎年同じ日の同じ時間に春分点や秋分点を通過するわけではありません。そのため、春分の日や秋分の日は定められていないのです。その年の太陽が春分点と秋分点が通過する瞬間がわかってから祝日の日も決まるということです。
なぜ太陽が通過する瞬間が決まっていないのかと言うと、皆さんご存知の通り地球が太陽の周りをぐるぐる回っていますが、太陽の周りを1周するのには365.24219日掛かっているからです。暦上では1年は365日ですが、実は1年は365日より少しだけ長いんですね。
時間に換算すると太陽の周りを1周するのにかかる時間は365日と6時間弱ということが分かります。実際の時間を見てみると、2010年の春分点は「3月21日の2時32分」だったのに対して、2011年の春分点は「3月21日の8時21分」でした。このように毎年6時間弱ずつ太陽が春分点を通過する時刻は遅れていくことがわかります。
しかし、永遠と遅れていくわけではありません。それはうるう年があるからです。うるう年は4年に1度だけ2月の日数が1日多くなる年のこと。春分点はというとうるう年の年に限っては、前年より6時間弱遅くなるもののマイナス1日となり、日付が1日早くなります。4年前と全く同じ時間帯に戻るわけではありませんが、簡単にいうとリセットされると似た感覚ですね。
2021年の春分の日はいつ?
2021年の春分の日は3月20日です。ちなみに太陽が春分点を通過する時刻は18時37分だそうです。
これまで何気なく過ごしていた春分の日も意味や歴史を理解することで、ちょっとだけ感慨深い日となりますね。
春分点を通過する時刻を知っていると理学的で知的に見られるかも…。
2021年は振替休日がない…!?
国民の祝日として定められている春分の日は、もちろん祝日になります。しかし、2021年の春分の日3月20日は土曜日です。国民の祝日が日曜日にあたるときは振替休日が出現しますが、土曜日は残念ながら振替休日はありません。
また、ある一部の国民の祝日を固定日から特定の月曜日に移動させることで3連休をつくるというハッピーマンデー制度の対象外です。2021年の春分の日は平日が祝日となったり3連休でお出かけをしたりすることはできないのはちょっぴり残念ですが、春の訪れを存分に感じる日にするのもいいかもしれませんね。
どうして春分の日は祝日なのか
どうして春分の日が国民の祝日と定められているのかというと、古くからは農村で春の訪れを祝う日と同時に先祖に感謝をするお祭りを行っていたのがはじまり。
この風習が長く続き、その後「春季皇霊祭」という宮中の先祖を祀る日となったことがきっかけで祭日とされました。そのため、今でも春分の日は「お彼岸」というイメージが根付いているのです。
春彼岸には何をするの?
春分の日の3日前から7日間を「春彼岸」といい、一方で秋分の日は「秋彼岸」と呼ばれています。彼岸は日本独自の風習でインドなど海外の仏教国では行われていません。
この日にはお墓参りをする風習があり、お墓をきれいに掃除したりお菓子などをお供えしたり、お線香をあげてご先祖様に感謝やお祈りをしましょう。
また、「寒さも暑さも彼岸まで」というように春分と秋分は季節の折返し地点でもあります。春分の日や秋分の日は昼と夜の長さが同じですが、春分の日を境に昼間の時間が長くなり徐々に暖かく、秋分の日以降は昼間の時間が短くなるので暑さが和らいでいきます。彼岸は寒さや暑さを耐え忍ぶ目安にも使われているんですね。