50歳以降の女性に多い膝の痛み。膝に負担をかけ過ぎてしまう原因には足首の硬さが大きく関わっています。今回は、足首の硬さが膝に与える影響とストレッチしにくい筋肉を緩めるためのセルフマッサージ法について紹介します。
足首の硬さが膝に与える影響
足首は通常、指先を手前に引く背屈、遠くに伸ばす底屈の2つの動作によって地面につく時の衝撃を抑えたり、歩みを進める際の蹴り出しを行っています。足首の関節に硬さがあり、特に背屈の動作が苦手になると歩行時の代償動作で膝に負担をかけるようになってしまいます。そのため、足首の硬さを放置したまま日常的に歩行をすれば、少しずつ膝への負担を助長させ激しい痛みを引き起こしてしまうことにもなりかねません。
illustration by AC
足首の硬さチェック法
足関節の背屈が正常かの判断には、しゃがみ込んだ時にかかとまで地面に付けられるかをチェックしてみましょう。この時、かかとを下ろそうとすると後ろに倒れてしまう人は、足関節の背屈が正常の可動域よりも狭い状態です。背屈が苦手になる原因は様々で、捻挫や骨折による怪我や運動不足による筋肉や腱の硬直、骨同士の衝突などがあります。
足首の動きを悪くする筋肉や腱
背屈の動きを制限させてしまう筋肉や腱は様々あるため、人によってほぐすべき箇所は変わります。主に影響を与えると言われているのがこの5つです。
①アキレス腱
ふくらはぎの下からかかとまでつながる大きな腱で、ふくらはぎの腓腹筋やヒラメ筋とつながる。アキレス腱が硬くなると、このふくらはぎの筋肉まで硬くなる。
②腓腹筋
ふくらはぎにある筋肉で、足関節底屈と膝関膝を曲げる働きをする。
③ヒラメ筋
ふくらはぎにある筋肉で、足関節底屈の主力筋。
④長母趾屈筋
腓骨後面から、アキレス腱の内側を通って親指の下までつながる深層の筋肉。
⑤前脛骨筋
すねにある筋肉で、足首関節を背屈させる主力筋。つま先を上に引き上げる動作を行い、歩行やランニングなど、足を使う運動全般で働く。
下肢の筋肉群/
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すねの深層筋/
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比較的アプローチしやすいふくらはぎやアキレス腱
ふくらはぎやアキレス腱はセルフでストレッチしやすく、可動域の改善のためにアプローチしやすい筋肉です。片脚を立て、もう片脚は正座の状態になり、立てた脚のかかとをついたまま前に体重をかけていくとふくらはぎやアキレス腱が伸びていきます。
ふくらはぎ・アキレス腱のセルフストレッチ/
illustration by AC
また、ストレッチボードの上に乗るだけでも効果的にふくらはぎやアキレス腱をストレッチできます。これらストレッチを毎日続けることで可動域が改善されていきます。
ボードを使用したストレッチ/
photo by Ruri Kimishima