『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』に続く、大泉洋さん主演北海道映画シリーズ第3弾『そらのレストラン』が2019年1月25日に公開されます。作品の見どころを深川栄洋監督にインタビュー。そして映画の公開を記念し、macaroni読者限定の豪華プレゼントキャンペーンも開催します!
macaroni_review
北海道映画シリーズ第3弾『そらのレストラン』
©2018『そらのレストラン』製作委員会
北海道の豊かな大自然を舞台に大泉洋さん主演でヒットを記録した映画、『しあわせのパン』(2011年)、そして『ぶどうのなみだ』(2014年)。その第3弾として2019年1月25日に『そらのレストラン』が公開されます。
前2作と同様、この作品でも北海道のご当地食材がふんだんに扱われており、観ているとつい「おいしそう!」と言ってしまうシーンばかり。今回は、作品のさらなる魅力について深川栄洋監督へインタビューをおこないました。
さまざまな食材のオーケストラを作りたい
― 北海道映画シリーズ第3弾ですが、今回も食にまつわる映画となっていますね。
「『しあわせのパン』はパン、『ぶどうのなみだ』はワインというように、これまではひとつの食材にテーマを絞っていました。今回は〈やまの会〉という、せたな町で実際に活動している団体が扱う食材にスポットを当てています。野菜、米、羊、豚、ミルクやチーズなどの乳製品。食材がいくつもあるので、それらの指揮をするイメージというか、オーケストラを作りたい気持ちがありましたね」
― 特に印象に残っている食材はありますか?
「どれも素晴らしかったですが、牛乳が本当においしいです。僕がずっと飲んできたのと全然違う。北海道で搾りたての牛乳を飲むと、味がとても薄くて、爽やかで、のど越しがすごく良い。牛乳ってのどで飲むものなんですね」
©2018『そらのレストラン』製作委員会
― ビールみたいですね。(笑)
「それくらい爽やかなんです。東京でも『北海道牛乳ないかな』って探すようになりました。チーズを題材に映画を、というお話をいただいてからずっと考えていたんですが、チーズやミルクには不思議な力がある。湯気が立っているミルクや、チーズが溶けているシーンが画面に流れていると、自然と惹きつけられますよね」
― たしかに、温かな気持ちにさせられます。
「ミルクはお母さんの、子供に対する愛情のかたまりなんです。だから見るだけで人を幸せにする。そんな温もりが、画面を通してお客さんにも伝わるといいなと思っています」
ワンカットOKの朝食シーン
©2018『そらのレストラン』製作委員会
― 本作は家族3人が朝食を取るシーンから始まりますが、トーストの上で溶けたチーズが長く伸びていて、とてもおいしそうでした。
「実際すごくおいしいですよ。あのシーンは1回で撮れたんです。今回の撮影はほとんどがワンカットOK。もちろん事前の打ち合わせは綿密にするんですが、あとは本番で起きたこともそのまま作品として見せていく。そういう瞬間瞬間を大事に、丁寧に見せていくっていうのがこの作品の特徴ですね」
©2018『そらのレストラン』製作委員会
― 朝食シーンもとても丁寧に描かれていましたね。
「ふだん、細かく編集して30秒くらいで見せるシーンを、家族が食卓に集まるところから3、4分かけて見せています。画面の中で彼らがどんな動きをするのか、どんな風に空気が動くのか、そこを楽しんで観てほしいです」
大自然の中で描かれる人間模様
― 前2作の監督・三島有紀子さんからバトンを受け取って、意識されたことはありますか?
「三島監督は北海道の食べ物をきれいに、美しく表現されていた。監督が代わったことをなるべく気づかれないように、三島さんのような世界を描きたいと思ったけど、どうもそうはいかないなあ、と。(笑)」
― そうだったんですね。(笑)
「昔から『北の国から』などの作品を見ていて、クリエイターとして北海道に強い憧れがあったんですね。そこで今回の話をいただいて、この大自然の中で僕ららしい人間模様を撮れたらいいなと思いました」
― と言いますと?
「僕らの年代の感覚として、自分は何者なのか問い続けるところがある。今ここにいるけど、あの時こう選択していたらどうだったんだろう、ここじゃないどこかに自分の居場所があるんじゃないか。情報や選択肢が多い分、そんな風に考えたり、立ち止まったりすることがあると思うんです」
― 映画の中でも、大泉洋さん演じる亘理(わたる)くんが町を去るか、それとも残るか迷う場面がありますね。
「はい。現代人が持つそんな迷いを、北海道の大自然の中で見つめられたらいいな、と」
― 作中にデジタル製品がほとんど出てこないのも、関連があるのでしょうか?
「そうですね。そういうものをなるべく省いた、すごくシンプルな世界を表現しました」