今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
大事にしたい顔を求めて
今週のさそり座は、人間の抱く欲望の闇に身震いしていくような星回り。
アーティストの菅実花が東京藝大の卒業作品展で発表した同作品は、ラブドールという人工物に妊娠という生きものとしての生々しさを融合した点が衝撃的で、これまで男性目線で理想化されてきたテクノロジーの未来をめぐって大きな動揺をもたらしました。
同級生の口から、とあるラブドールに自分が似ていることを知らされたことをきっかけに作品製作をはじめた彼女にとって、作品を通して人工的な女性と自分とを重ね合わせていく過程そのものが、ある種の生まれ変わり経験であり、それ自体が美しくも野性的な母性の所産だったのだとも言えます。
あなたもまた、力強く自信にあふれた存在への生まれ変わりに自然と惹きつけられ、何らかの関わりをもっていくことでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
たまたまできた詩のような人生
今週のいて座は、ある種の現代アートとして日常を演じていこうとするような星回り。
『物指(ものさし)で背(せな)かくことも日短』(高浜虚子)という句のごとし。
ここでは思いがけないこと自体がこの結びつきの本質であり、しいて言えば、そうした日常や人生というものに潜む本質的な無意味さに対して呆然としつつも、どこかでそれを受け入れているような気分が漂っている。
あなたもまた、そういうこの世の不条理さをいったん呑み込んだ上で、それでも背をかき続け、日短の日常を生きていくべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
遙かなる影
今週のやぎ座は、いかにも分かりやすいメッセージを投げかける代わりに、言葉にならない“感じ”を伝えていこうとするような星回り。
90年代前半に放映された岩井俊二監督のテレビドラマ『GHOST SOUP』は、成仏できない霊のために特製のスープをふるまうヘンテコな天使の二人組を、鈴木蘭々とデーブ・スペクターが演じる。
ラストシーンで流れる主題歌は余韻を冗長させるのではなく、むしろ視聴者の読後感を洗い流すかのように、きわめて抑制的に使われており、それがかえって清冽な“感じ”を残すのです。
あなたもまた、そうした魂に降りそそぐ“小さな救済”の感覚に思いきり忠実になっていくべし。