ティッシュを使う罪悪感
部屋にごみ箱はなく、滞在中に出たごみは、ごみバスケットの中の容器を使ってまず6種類に分別することになっています。
宿泊者に向けては、上勝町のゼロ・ウェイストの取り組みについて30分ほどのレクチャーがあるため、分別の基本的な方法はここで知ることができます。
荷物を片付けたので、晩茶とコーヒーを淹れて一息つきます。
ここでさっそく、ごみ問題にぶつかりました。出涸らしの茶葉とコーヒーかすです。
通常、生ごみは「燃えるごみ」ですが、上勝町では生ごみをコンポスターで分解して堆肥にしているため、紙ごみなどとは分ける必要があります。
コーヒーかすをティースプーンですくって生ごみの分別容器に移すとき、汁を洗面台にこぼしてしまいました。さっとティッシュで拭き取ろうとして、ふと手が止まります。
普段「燃えるごみ」として何気なく捨てている使用済みティッシュは、上勝町では「どうしても燃やさなければならないもの」にあたります。つまり、リサイクル率81%を達成している上勝町で残り19%にあたる、リサイクルできないごみ。いわばゼロ・ウェイストを阻んでいるごみなのです。
リサイクルできないごみを減らすには、ごみを出さないようにするしかありません。自宅なら雑巾を使うという選択肢がありますが、ここではティッシュ1枚の隅っこだけを控えめに使って拭き、あとで使うために残しておきました。
カップ麺の汁まで飲む
予想外に分別にモタついてしまい、町内の飲食店の閉店時間を過ぎてしまいました。コンビニが1軒もない上勝町。非常食として持参したカップ麺を開封することに。
外側のビニールがプラスチックであることはわかりますが、裏が銀色にコーティングされた紙の蓋、汚れた紙カップ、付属の辛味オイルの小さな袋など、分別の難易度が高そうな予感がします。
生ごみを減らしたいがために、汁まで飲み干しました。
せっかくコーヒーを淹れたからと、ついデザートにまで手が伸びてしまいました。ごみになるものを出してしまった罪悪感を覚えつつ、この日は就寝です。