「飲む日焼け止め」が最近話題になっていますが、成分はどのようなものなのでしょうか。飲むだけで手軽ですが、効果はあるのでしょうか。管理栄養士が詳しく解説します。
飲む日焼け止めとは?
飲む日焼け止めってどんなもの?
飲む日焼け止めとは、その名の通り、飲んで日焼けを防止するサプリメントのことです。海外で20年ほど前から販売され始め、今では日本でも様々な商品が目につくようになりました。
一般的に皮膚に塗るタイプの日焼け止めに比べて手軽であること、プールや海など水に入るときに便利なこと、皮膚が弱い人が利用しやすいなどの理由から、話題を呼んでいます。
飲む日焼け止めの主成分は何?
飲む日焼け止めに配合されている主成分の多くは、体内にできた活性酸素を除去する効果のある、抗酸化物質です。よく使われている成分の中に「フェーンブロック」というのがあります。中央アメリカ原産のシダ植物の抽出物です。これまでに様々な研究結果から、フェーンブロックに抗酸化力があることが報告されています。
飲む日焼け止めは、塗るタイプの日焼け止めのように、直接紫外線をブロックするものではありません。抗酸化物質を摂ることで、肌の抗酸化力を上げる商品です。
日焼けすると皮膚はどうなる?
太陽光を長時間浴びると光老化する
顔や手などに太陽光を浴びると、皮膚でビタミンDが作られ、体に有用な働きをします。しかし、長時間浴びると肌の光老化が起きます。光老化とは、加齢による老化とは違い、光を浴びることで起きる肌の老化のことです。しみ、しわ、たるみなどの原因となります。また皮膚がんにもつながります。
太陽光には紫外線、可視光線、赤外線の3つがありますが、その中で紫外線が光老化に大きく影響しています。
日焼け対策が大事
肌が紫外線を浴びると体内で活性酸素が増えます。紫外線、活性酸素で肌が刺激されると、肌の一番上の表皮では、色素細胞のメラノサイトが防御反応からメラニンを生成します。これが排出されずにたまると、しみになります。
表皮の下にある真皮の成分であるコラーゲン、エラスチンは、活性酸素の影響で変性して崩れ、肌の弾力や張りがなくなります。真皮の下にある皮下組織の支えも弱くなり、これらがしわやたるみの原因になります。
光老化を防ぐためには、紫外線を遮断して、体の中に活性酸素を増やさないことが大切です。そのためには、帽子、日傘、衣服で紫外線を遮断することに加え、日焼け止めを上手に使うことは大切です。
飲む日焼け止めの効果
紫外線は遮断できない
飲む日焼け止めは、体内にある活性酸素を抑制する効果はありますが、紫外線を遮断する効果があるわけではありません。米国の皮膚科学会(AAD)は、一般的な塗るタイプの日焼け止めの代替品として使うべきではないとの見解を示しています。
抗酸化作用として、皮膚のダメージを軽くする、回復を促す効果は期待できますが、塗るタイプと同等の効果が得られると考えないようにしましょう。
飲む日焼け止めの上手な使い方
飲む日焼け止めだけではなく、帽子、衣類などを使って紫外線を遮断しましょう。そして塗るタイプの日焼け止めも併用するようにしてください。飲む日焼け止めは、飲み始めてからすぐに効果が出るものではありません。飲み続けることで効果が出てきますが、時間も費用もかかることを考えて使いましょう。
毎日の食事で、肌のことを考えた栄養素が摂れるレシピをご紹介します!
日焼け予防に!おすすめレシピ
手羽元で作る柔らかカチャトゥーラ
抗酸化作用のあるビタミンCやEが多いトマトやパプリカをたっぷり使って煮込んでいます。骨付きの手羽元からはコラーゲンも摂れます。お肌にうれしい主菜です。
水菜とオレンジの美肌サラダ
抗酸化ビタミンがたっぷり摂れるサラダです。ビタミンCはチロシナーゼという酵素の働きを阻害し、メラニン色素の沈着を防ぎます。