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葛飾北斎に憧れる14歳は、生後8カ月から筆に墨をつけていた。「なぜ?」と聞かれたときに母が選んだ答え方は

子育て

江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎に憧れ、絵画を模写してしまうほどの腕前を持つ目黒龍一郎さん、14歳。人気テレビ番組に出演し、「葛飾北斎博士ちゃん」として知られています。好きなことをどのようにして極めていったのでしょうか。龍一郎さんと母親の史さんに聞きました。

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6歳の頃、クジャクを描いている目黒龍一郎さん
写真提供 : 目黒史さん

目黒龍一郎さんは、葛飾北斎の生活習慣に倣い、午前5時ごろには起きだして絵を描いています。

最近の作品は3月に、中学2年生の期末テストを受けている自分を浮世絵風に描いたもの。「春眠暁を覚えず」「メタボリックシンドローム」、「走れメロス」などテスト勉強で覚えたワードなどが、龍一郎さんの周りに散りばめられています。

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中学2年の期末テストを描いた作品
写真提供 : 目黒史さん

何でも絵にして覚える

龍一郎さん「構成を思いつくたびに、勉強と勉強の合間の休憩時間に下絵を描いておき、テストが終わった後に仕上げました。理科も歴史も地理も、絵を描くと覚えるんです」

九州の地図と特産品やミトコンドリアなどの微生物がまとめられたページや、明治維新の立役者たちによる「chat明治」のページ。西郷隆盛、大久保利通、木戸孝之らのアイコンがメッセージを交わしているスタイルで登場。どのような意図や事件があったのか、歴史の流れが分かる仕組みです。

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「chat明治」。歴史も絵を描きながら覚えるそう
写真提供 : 目黒史さん

母親の史さんはこう話します。

史さん「こういうのを見ると、今どきの子だなって思います。勉強は絵を描いて楽しみながら画面で覚えるタイプ。絵を描きながら頭の中で反芻し、まとまった頃には覚えている。わたしもこんな学び方をすればもっと勉強が好きだったかなと思います」

筆を持ったのは生後8カ月の頃

史さんは書道教室の先生。赤ちゃんの頃の龍一郎さんは人見知りの性格だったため保育園には預けず、抱っこしながら生徒さんたちに教えていたそうです。

史さん「おとなしくニコニコしていたので看板犬ならぬ、看板赤ちゃんみたいな感じでした。生徒さんたちも成長を見守ってくださって。筆は8カ月ぐらいの頃から持っていました」

「レッスンの後、生徒の皆さん同士が作品を見せ合う時間があるんです。皆さん『素敵ね』などとニコニコして他の方の作品を褒めていらっしゃる。その様子を見ていたから、『筆を持つことは楽しいこと』という刷り込みがあったんだと思います」

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8カ月の頃。筆に墨をつけて紙の上で動かすことを覚えた
写真提供:目黒史さん

龍一郎さんにしてみれば、史さんの仕事が筆を持つ仕事だったから、普通にそこにあったものを使って描き始めた、というだけのよう。こどもがクレヨンで線を描くように、筆で線を描いていました。1,2歳のこどもが筆を持つと墨でそのあたりを黒々としてしまいそうですが……。

史さん「0歳でも言葉にしないだけで、ちゃんと見ているんでしょうね。墨は筆先にちょんちょんとつけるものだって。2歳ぐらいになると、持ち方は変ですが自分で筆に墨をつけて紙に描いていました。幼稚園ぐらいになると字も書いていましたが、自由に描く絵の方が生き生きしていました」

龍一郎さん「小学校で習う鉛筆の持ち方だと、初めのころは書きづらかったです。筆は中指を軸にかけますが、鉛筆だと中指は軸にかけない。どうしても筆の持ち方になってしまいました」

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2歳、ひたすら線を描く
写真提供:目黒史さん

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3歳、大きな和紙にリムジンを描いている
写真提供:目黒史さん

自宅で「個展」を開催

龍一郎さんはいつも筆を使い、その時々に好きだったものを描いてきました。幼稚園の頃は恐竜、鳥、動物、車や電車。小学生になるとお城や神社仏閣にも興味を持ちはじめたそうです。

龍一郎さん「小さい頃はどちらかというと、筆で線を書き、色鉛筆は色を塗ることに使っていました。これは幼稚園年長の頃に書いたクジャクの絵です」

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6歳の頃に描いたクジャクの絵
写真提供:目黒史さん

史さん「恐竜がブームの時は、恐竜についての本を読んだりテレビ番組や図鑑の付録のDVDをみたりと、ずっと恐竜。恐竜の絵を描く、立体もつくる、そして知識が深まると、それを使ってプレゼンをはじめるというのが常でした。『19世紀に恐竜が見つかった国、イギリスです。誰が恐竜を発見したか。バックランドです』などと解説をはじめる。描いた絵を壁に貼って個展ごっこをしたり、紙芝居をつくったりもしていました」

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4歳、動物と乗りものが好きだった頃
写真提供:目黒史さん

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