アーユルヴェーダの中で大切にされている考え方をシンプルに言うと、"体に毒を溜めない/毒を排出する"という『毒出し』。「大きな声ではちょっと言えない」「身近な存在の人には知られたくない」と言った悩み事を抱えていませんか? 体調や心の悩み、人間関係やら恋愛、夫婦やパートナー間のあれこれまで、皆さまの悩ませている毒を溜めずに排出するべく、アーユルヴェーダアドバイザー/ヨガ講師の桑子麻衣子がアーユルヴェーダとヨガの智慧をベースにお悩みに答えます!
今回、「毒出し保健室」を訪れてくれたのは、集中力が続かないことがあるとお悩みのKさん(35歳)です。「時々、目が開けていられないほど疲れてしまって、集中力が続きません。睡眠時間はしっかりとっているのに、どうしてこんなことが起こるのでしょうか」と話します。集中力が低下している時の、生活習慣などをお伺いしてきながら、解決策をご提案させていただきました。
集中力が続かない…
桑子: こんにちは!「毒出し保健室」へようこそ!本日は、どういったお悩みでしょうか?
Kさん: 集中力が低下に悩んでいます。いつもではないのですが、時々、目が開けていられないほど疲れてしまって、集中力が続きません。睡眠時間は毎日しっかりとっているのに、どうしてこんなことが起こるのでしょうか。
桑子: 具体的にどういった時に、疲労を感じて集中力が低下することが多いか分かりますか?
Kさん: 仕事で繁忙期には、よくそうなりますね。忙しいから疲れるというのは分かっているのですが、集中して仕事に取り組んでいかないと、余計忙しくなってしまいます。
桑子: 集中力の低下の他に、何か気になる症状はありませんか?
Kさん: イライラするかな。気持ちが不安定になりやすいです。いつもは、見過ごせることでも、気になったりとか。
桑子: お仕事中に短時間でも休憩をとることはありますか?
Kさん: 日によりますね。本当に忙しい時は、ランチも仕事をしながら適当に食べるなんてこともあります。
桑子: お仕事ではPCをよく使われますか?
Kさん: 一日中PC作業ですね。
桑子: お仕事が終わったあとは、PCやスマホを使用することはありますか?
Kさん: PCはあまり見ませんが、スマホは触っています。映画を見たり、SNSを見たりして過ごすことが多いです。
桑子: お忙しい時も、睡眠時間はしっかり確保されているということですが、睡眠の質はいかがでしょうか?寝付きが悪かったり、夜中に覚醒することなどはありませんか?
Kさん: 夜中にちょこちょこ起きることはありますね。すぐ眠りに戻れることもあれば、戻れないこともあります。
集中力の低下気味、もしかして脳疲労が原因かも?
集中力の低下には、いくつか原因が考えられますが、今回のお話をお伺いしていると、脳疲労による集中力低下の可能性があるかもしれません。
脳疲労とは、過剰な情報やストレスによって脳の機能が一時的に低下した状態。その原因には、スマホの長時間利用やマルチタスク、寝不足などが挙げられます。集中力の低下に加えて、判断力の低下、物忘れ、イライラなどの症状が現れることも。脳疲労が続くことで、自律神経失調の乱れ、気分の落ち込み、また、肥満や生活習慣病、認知症のリスクも高まる恐れがあるといわれているので、体からのサインを見逃さず、しっかりと対処していきましょう。
脳疲労を和らげて、集中力を取り戻そう
現代人の多くは、脳疲労を抱えていると言われています。情報過多の時代だから無理もないかもしれません。実際に疲労感や集中力の低下など症状が見られる場合は、具体的な対策をとっていくことが必要です。アーユルヴェーダの考え方はシンプルで、「過剰になっているエネルギーと反対の性質を持つエネルギーを補う」と考えます。情報をたくさん取り込むことや、休みなく動き続けることによって疲弊し集中力が低下する場合は、休息をしっかりと意識することが大切。特に気をつけたいのが、仕事後の過ごし方です。仕事をしていないけれど、スクリーンタイムが多い方などは特に要注意。デジタルデバイスの使用が増えると、情報過多や眼精疲労などが原因となって疲労につながってしまうから。
仕事中に休憩時間をとる
お仕事が忙しい時は、なかなか休憩時間も取れないことも多いかもしれません。一方で、5分程度でもいいので、意識的に休憩すると、頭がスッキリしたりします。1〜5分程度の深呼吸で心拍を落ち着かせたり、リラックスする音楽・音を聞くと、脳をリフレッシュさせる効果が期待できます。また、アロマオイルなどをデスクの上に忍ばせておいて、ひと嗅ぎするだけでも頭がスッキリするのでおすすめです。リラックスしたい時は、ラベンダー、カモミール・ローマン、イランイラン。集中力やモチベーションを上げたい時などは、グレープフルーツ、ローズマリーなどがおすすめです。
運動
同じ姿勢やじっとしていることが長く続くと、脳は疲労感を感じやすくなるんだとか。お仕事の合間に、肩や手首、足首を回したり、背中や腕を伸ばしたりなど、簡単なストレッチでも疲労の蓄積を予防◎。また、ヨガやウォーキングなど、まとまった時間をとって運動を習慣化するのもGood。血流が改善され、疲労感が解消されます。また、ヨガのポーズをとることや、歩くことにただただ無心で向き合うことで、使いすぎた脳を休ませるのにも効果的です。
デジタル・デトックス
お仕事後やお休みの日のデジタルデバイスとの付き合い方も意識的に。付き合いなどで、完全にスマホを見ないのは難しいとは思いますが、できれば就寝2時間前からはデジタルデバイスはオフにするのが◎。睡眠の質に関わってきます。
一方で、デジタル・デトックスで浮いた時間は、なるべく刺激の少ないゆっくりとした時間に当てるのが理想的。40℃以下のぬるめのお湯につかるとリラックスしやすくなり、睡眠の質の向上にも効果的です。アロマやリラックス音楽を聴いて過ごすのもGood。休みの日は、ゆっくり本を読んでみてはいかがでしょうか。
また、アーユルヴェーダでは、毎晩、オイルを使ったセルフマッサージが推奨されています。お好みのマッサージオイルを湯煎で温めて全身にオイルを塗布することで、疲労や不眠、頭痛の緩和に効果が期待できます。全身マッサージが難しい場合は、頭・耳・足の裏の3点マッサージのみでもOK。