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ヨガするときの下着問題|産婦人科の女性医師は「つけない派」。その理由とは

ヨギの間でたびたび話題になる下着問題。衛生面を考えて「つけたい」人もいれば、精神性から見て「履くべきではない」と考える人も。そこで、今回は医学的見地からその答えを導く。

ヨガジャーナル日本版編集部

「私は基本的には、つけない派」というのは、産婦人科医の八田真理子医師(「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」院長)。自身もフィットネス愛好家であり、女性器を知るスペシャリストでもある。なぜヨガするとき下着を「つけない」のか? ひとつには、八田医師が提唱している「ちつケア(膣ケア)」の観点から説明しよう。ちつケアとはその名の通り、女性器「膣」を清潔にすること、おりものの状態など膣にコンシャスであること。日本はこの分野において海外からだいぶ遅れをとっている、と八田医師は話す。「下着によるムレや締め付けは、膣トラブルの誘因のひとつ。できれば、就寝時もノーパンで過ごすことをおすすめしています。ヨガパンツはぴったりと密着する素材が多いので、その下にショーツを履くとムレますよね。さらに体を動かして汗をかくとムズムズした不快な症状を感じることも。だとすれば、ショーツをはかずにヨガしたほうが体にとっても膣にとっても心地よいはず。それに、ヨガにはリラックス効果もありますよね。下着で体を締め付けてしまうと、その効果が薄れてしまうようにも思います」と話してくれた。

衛生面は問題ないのか?

「つける派」が心配しているのは、直にはいたウエアからの陰部感染。その点についても八田医師は「健康な女性であれば、ウエアの繊維から陰部へ病原菌が感染することは、ほぼないと言っていいでしょう」。通常、健康な女性の膣にはおりものがあり、その自浄作用により外からの雑菌の侵入を防いでいるのだそう。「自前のウェアはもちろん、清潔なレンタルウェアの陰部への感染リスクについて、あまり神経質になる必要はない」というから、ちょっと驚きだ。

抵抗があるなら履いた方がいい

アメリカの女性用下着ブランド「ディア・ケイト」の創業者ジュリ―・シジエルによると、「下着をつけない派」の多くが、心と体の解放を目的にしている。とはいえ、下着をつけずにヨガを行うことが生理的に受け付けない(=ストレス)という人もいるだろう。だとすれば、そういう人は履いた方がいいのだそう。「そのときは、なるべく体を締め付けないものを選んで。Tバックなど露出の多いタイプなら、より開放感を感じられるでしょう」。

「下着をつけない派」の多くが、心と体の解放を目的にしている

ヨガ以外の激しいトレーニング時には注意

ただし、下着をつけた方がいい時もある。「たとえば、私はエアロビクスのような動きのあるフィットネスの際は、必ず上下とも下着をつけています」という八田医師。激しい運動では、ウエアと陰部との間で摩擦を防ぐために、下着(ショーツ)は必須というのが八田医師の見解だ。また胸が上下に動くような運動をするときは、必ず下着(スポーツブラ)を付けて欲しい、と八田医師は話す。「胸を支えるクーパー靭帯が切れてしまうと、胸が垂れたり離れたりする恐れがありますから」。

八田真理子医師のアドバイスからも分かる通り、ベストアンサーは「自分が一番心地よいと思うスタイルでヨガを楽しむこと」だ。だが、ちつケアの観点からすれば、「下着はつけない」に1票といったところだろう。まずは近日参加するヨガレッスンから「ショーツをつけないヨガ」にトライしてみては?

お話を聞いたのは…八田真理子医師

産婦人科医。1990年聖マリアンナ医科大学卒業。順天堂大学、千葉大学、松戸市立病院産婦人科勤務を経て、1998年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。思春期から更年期までの幅広い女性の診療を行う。日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医。日本マタニティフィットネス協会認定インストラクター。膣をきちんとケアすることの重要性を訴え、女性の体について知っておくべき知識を1冊にまとめた「産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話」(アスコム)を発売。

「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」
「産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話」(アスコム)
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