ヨガのレッスンでよくインストラクターが「左右の差も感じてみましょう」と言うことがあります。でも、片方だけ曲げづらい、片方だけ頭痛や肩こりがある、片側の腰だけ痛みがある…など左右差を感じたあと、その左右差をなくしたり整えていくにはどうしたらいいのでしょうか?
伊藤香奈
左右の差が不調を招く?!
私たちの体は、右目と左目のサイズから右手と左手の指の太さ、右足と左足の筋肉のつき方などなど、体のどの部分をみても、左右対称の部位はないといっても過言ではありません。利き手や利き足もありますから、左右で筋力の違いもあることも明らかです。とはいえ、筋力や使う頻度に差があると、体の不調に繋がることもあります。片方だけ頭痛や肩こりがある、片側の腰だけ痛みがある、などの症状が出ている人は、体の使い方のかたよりが原因かもしれません。左右の差に気づき、その差を整えていくだけでも、症状が和らぐ可能性があるのです。
まずは自分の体を知ろう!
ヨガのレッスンでは、まず左右の差に気づき、自分の体について知っていくところから行います。そして、柔軟性がない方や筋力が弱い方は、意識的に長くポーズを行なったり呼吸を深く送るなどを行いましょう。(過去の怪我などが原因の場合は、医師の指示に従って無理のないようにしましょう)
例1
安楽座のやり方はこちら
例2
戦士のポーズやバランスポーズでは、右脚と左脚の筋力の差がわかりやすくなります。特に筋力が弱い方は、脚の内側の筋肉が使えていなくて、外側の大きな筋肉ばかりを使ってしまったり、体の軸が崩れてしまいがちです。その点を意識しながらポーズを深めていきましょう。
戦士のポーズⅡのやり方はこちら
例3
ねじりのポーズで、右にねじった時と左にねじった時に違いがあることはよくあります。ねじるのが苦手な方は、呼吸が浅くなってしまったり、力でねじりを深くしようとしてしまいがちです。長めにホールドしながら、呼吸を深くしてつまりがある部分をゆっくりとほぐしていきましょう。
半分の魚の王のポーズやり方はこちら
日常生活でも意識して
左右の差を整えるためにヨガのレッスンや整体に行くよりも一番効果的なのは、日常生活をちょっとだけ意識的に過ごすこと。よく言われる鞄を片側だけで持たない、立っている時に片側の足にだけ体重をかけない、などもかなり効果的です。電車に乗った際は、鞄を網棚に乗せて両肩の負担を減らすのも良いでしょう。
さらに意外な盲点なのが、通勤通学などで歩く道です。多くの道は、雨水の流れを作るために傾斜があります。行きも帰りも右側通行をしていると、同じ側に傾いている道ばかりを歩くことになり、バランスが崩れてしまうことも。また電車に乗る際も、進行方向に対していつも同じ側に乗っていると、踏ん張る足がいつも同じになってしまいます。意識的に「いつもの癖」を変えていきましょう。
気づく→日常を変える
ヨガのレッスンで左右の差を感じたとしても、対処しなければその差はなくなりません。そして左右差は、ヨガのレッスンを受けることももちろんですが、日常生活を変える方が大きく改善する可能性があります。ヨガレッスンは気づきのための時間、そして日常で整えて、またヨガレッスンで変化を体感する、というヨガレッスンと日常の良い循環を作ることがオススメです。
ライター/伊藤香奈
2012年、全米ヨガアライアンス200時間を取得。新規ヨガイベントの立ち上げや新人講師発掘オーディションのプロデュース責任者等を歴任。800人以上のインストラクターと出会い、現在ヨガ雑誌やイベントの第一線で活躍するインストラクターを数多く育成、輩出する。2017年に、セミナー講師、ヨガインストラクター、ヨガワークライフコンサルタント、ヨガインストラクター向けキャリアアドバイスセミナー講師として独立。